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■NEWS 【米国心臓協会(AHA)】厳格Na制限による血圧低下は糖尿病や降圧薬服用の有無、人種を問わず一貫―ランダム化クロスオーバー試験“CARDIA-SSBP”

登録日: 2023-12-14

最終更新日: 2023-12-14

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去る1111日から3日間、米国フィラデルフィアで米国心臓協会(AHA)学術集会が開催された。本年はライブ開催のみでウェブ配信はなし。ただし12月に入りメディアにも一部録画が公開された。

ここでは"CARDIA-SSBP"試験を紹介したい。Na制限が血圧に及ぼす影響を、従来よりも幅広い対象で検討したランダム化クロスオーバー試験である。その結果、Na制限は降圧薬服用の有無を問わず血圧を低下させ、血圧が低下しない集団は一部に限られることが明らかになった。バンダービルト大学(米国)のDeepak K. Gupta氏が、Late-Breaking Scienceセッションで報告した。

Na制限による著明降圧作用はすでに、2001年のランダム化比較試験"DASH Sodium"で証明されている。しかし同試験では「降圧薬服用例」「糖尿病例」が除外されており、これらに対する降圧作用は必ずしも明らかではなかった。

【対象】

CARDIA-SSBP試験の対象は「5075歳」の米国在住者である。血圧に特に制限はなく、一定以上の低/高血圧(「<9050」「>160100mmHg)や治療抵抗性高血圧(降圧薬3剤以上でも管理不良)を除き参加可能だった。降圧薬服用の有無も問わない。228例が登録され、試験を完遂した213例が評価対象となった。年齢中央値は61歳、女性が65%を占めた。また49%は降圧薬を服用しており、22%が糖尿病だった。

【方法】

これら213例はまず「通常食」で1週間経過後、「高Na負荷食」群と「低Na食」群にランダム化された。そして1週間観察後、逆の群にクロスオーバーしてさらに1週間追跡された(全員が「通常食」「高Na負荷食」「低Na食」すべてを経験)。食事ごとのNa量は、「高Na負荷食」が「通常食」に「Na 2.2g/日含有スナックの追加」、「低Na食」は「Na摂取量=0.5g/日」(冷凍食とスナック、飲料支給)である。実施された検査は、24時間自由行動下血圧測定と24時間蓄尿(Na排泄評価)。いずれも割り付け群食最終日に実施した。

【結果】

(1)Na/K摂取量(降圧薬服用例を除外して評価)

24時間蓄尿から推算した1日Na摂取量(中央値)は、「通常食」期間最終日で4.45g、「高Na負荷食」最終日が5.00g、「低Na食」最終日は1.27gだった。一方、尿中K排泄量には差を認めなかった。

(2)血圧(低下幅)

まず全例でNa摂取量の変化が血圧に与える影響を比較した。

「通常食」最終日と比べると、「高Na負荷食」最終日には24時間収縮期血圧(SBP)平均値が1mmHgの高値となったものの有意差とはならなかった。一方「低Na食」最終日の24時間平均SBPは「通常食」最終日に比べ5mmHg、有意に低くなっていた。「低Na食」最終日の24時間SBPを「高Na負荷食」最終日と比べると、低下幅は7mmHgとなった(有意)。そしてこの血圧低下(「高Na負荷食」→「低Na食」)は、「降圧薬服用の有無」「試験開始時血圧の高低(12574mmHgの上下)」「糖尿病の有無」にかかわらず認められた。

目を引いたのは糖尿病例である。有意差ではないものの「低Na食」に伴う降圧幅は、非糖尿病例に比べ12mmHgほど大きかった。糖尿病例の多くが降圧治療に難渋する点を考えると重要なデータだとGupta氏は評価している。また人種差も存在しなかった。「食塩感受性が強い」と考えられているアフリカ系米国人と「さほど強くない」とされる白人間で、「低Na食」に伴う降圧幅は同等だった。

(3)血圧(降圧反応率)

次にNa摂取制限で血圧が低下した例と上昇した例の割合を調べた。

その結果、74.4%では「高Na負荷食」最終日に比べ「低Na食」最終日には、程度の差こそあれ24時間SBPは低値となっていた。一方21.6%では逆に、SBPの上昇を認めた。これら「上昇」群では「低Na食」へのアドヒアランスが低かった可能性が、尿中Na排泄量検討から示唆されているとGupta氏は述べた。いわゆる「食塩感受性」の有無とは無関係と、同氏は考えているようだ。

(4)血圧(降圧薬服用の有無による影響)

最後に、降圧薬服用の有無が「低Na食」に伴う血圧低下に影響を及ぼすかが検討された。

全体を「血圧正常」「管理良好高血圧」「未治療高血圧」「管理不良高血圧」の4群に分けて比較したが、いずれの群でも、「低Na食」では「高Na負荷食」時に比べ24時間SBPは低値を示し、群間に有意なばらつきはなかった。

【結論】

以上よりGupta氏は、Na負荷により血圧は必ずしも上昇するわけではないが、Na制限は降圧作用を示し、その降圧作用は降圧薬服用の有無を問わないと結論づけていた。

本研究は米国心肺血液研究所、米国心臓協会、米国国立衛生研究所から資金提供を受けた。また報告と同時にJAMA誌ウェブサイトに論文が掲出された。

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