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うっ血乳頭[私の治療]

No.5192 (2023年10月28日発行) P.52

山上明子 (井上眼科病院眼科)

登録日: 2023-10-26

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  • うっ血乳頭とは,頭蓋内圧亢進による視神経乳頭腫脹のことである。網膜視細胞より上行する軸索流が,頭蓋内圧亢進により阻害され,乳頭篩状板の前方にうっ積する。また,篩状板前方で膨脹した軸索の圧迫により,網膜血管の異常が二次的に起こる。病期によって初期,旺盛期,慢性期,萎縮期に分類される。うっ血乳頭をきたす疾患としては脳腫瘍,くも膜下出血,硬膜下血腫,硬膜外血腫,脳静脈洞血栓症,脳動脈奇形,脳炎,髄膜炎,脳膿瘍,頭部外傷,特発性頭蓋内圧亢進症,白血病などがある。

    ▶診断のポイント

    【症状】

    うっ血乳頭初期は視力正常で,視野検査にてマリオット盲点の拡大がみられるのみで,無症状の場合も少なくない。旺盛期以降は視力・視野障害,一過性視蒙(数秒間かすみがかかったようになる)や脳圧亢進による外転神経麻痺をきたし複視を自覚する。眼症状以外には頭痛,耳鳴り,羞明など,頭蓋内圧亢進による症状を合併する。

    【検査所見】

    両眼の視神経乳頭の腫脹がみられる(左右差がみられることもある)。うっ血乳頭が疑われたら頭部MRIを施行し,うっ血乳頭をきたす原因疾患を精査する。また,うっ血乳頭以外の視神経疾患(視神経炎など)を除外するため,眼窩MRI冠状断も撮像する。単純MRIで正常所見ならば,造影MRIやMR venography,髄液検査を施行する。

    【うっ血乳頭の病期】

    病期によって,初期,旺盛期,慢性期,萎縮期に分類される。

    初期:視神経乳頭は毛細血管の多寡により発赤し,視神経軸索の腫脹により視神経乳頭は隆起する。また,視神経線維層の膨脹により乳頭境界が不鮮明になる。この時期はまだ乳頭陥凹が保たれるが,網膜静脈拍動が欠如する(乳頭面の静脈拍動は約80%にみられるとされる)。初期の視機能は無自覚か視力正常で,視野検査でマリオット盲点の拡大を認める。

    旺盛期:乳頭径が2倍以上に増大し,軸索組織の変化と組織間液の貯留により視神経乳頭境界は著しく不鮮明になり,網膜静脈の怒張,蛇行がみられ,乳頭上または周囲網膜に白斑や出血斑を伴う。また,網膜襞(乳頭縁に平行に現れるPaton’s line)や,脈絡膜の襞形成(眼球後部に水平に走る)が認められる。旺盛期の視機能は,視神経乳頭所見に比して視機能障害が軽度で,一過性視蒙や光視症を自覚する。

    慢性期:乳頭腫脹や発赤が減弱・軽減し,灰白色~黄白色となる。また,生理的陥凹はグリア組織に置きかわり消失し,網膜静脈怒張が軽快する。慢性期の視機能は,霧視,周辺視野狭窄が生じた状態となる。

    萎縮期:視神経萎縮が進行し,網膜血管が細小化して一部は白鞘化する。萎縮期の視機能は,視力低下が進行し,視野異常を呈する状態となる。

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