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■NEWS 医療計画の5事業を議論、診療側は二次救急の評価を要望―中医協

No.5171 (2023年06月03日発行) P.70

登録日: 2023-05-26

最終更新日: 2023-05-26

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2024年度の診療報酬改定に向けて、中央社会保険医療協議会は517日、医療計画の5事業をテーマに意見交換した。救急医療では救急医療機関の役割を明確化し、三次救急から二次救急への「下り搬送」などを促進する必要性から、診療側が二次救急医療機関の診療報酬上の評価引き上げを求めた。

この日は医療計画の6事業のうち、新興感染症への対応(次期計画から追加)を除く、救急医療、災害医療、へき地医療、周産期医療、小児医療―の5事業について議論した。

救急医療は、人口の高齢化に伴い、高齢者の救急搬送が年々増加している点について論議。特に増えているのが軽症・中等症の高齢救急患者とされ、三次救急医療機関がこれら患者を受け入れているケースも散見される。このため、三次救急から二次救急への転院(下り搬送)の促進、単身世帯や介護ニーズのある高齢者の退院先が見つからない「出口問題」の解消―などが課題となっており、リハビリテーションの提供体制が十分とは言い難い三次救急医療機関への入院によるADL低下も懸念されている。

こうした現状を踏まえ、「第8次医療計画」は救急医療機関の役割を、①初期救急/主に独歩で来院する自覚症状が軽い患者への夜間・休日の外来診療、②二次救急/高齢者救急をはじめ地域で発生する救急患者の初期診療と入院治療、③三次救急/重篤患者に対する高度な専門的医療の総合的実施―などと明確化。診療報酬上の評価では、急変した在宅療養患者などの受入を念頭に、救急医療の体制を備えていることを「地域包括ケア病棟入院料」の要件に設定している。 

■支払側は地域包括ケア病棟における高齢救急患者の受入強化を要望

診療側の長島公之委員(日本医師会常任理事)は、「これまでの三次救急に偏った診療報酬上の評価によって救急医療提供体制に歪みが生じたことが、高齢者の救急搬送問題の根本的な原因だ」と分析。下り搬送などへの対応に伴う負担の増加も考慮し、二次救急の評価を手厚くするべきだと主張した。池端幸彦委員(日本慢性期医療協会副会長)は、特定の病棟への受入を診療報酬で誘導するのではなく、地域の実情に応じた柔軟な対応を認めた上で、下り搬送を行いやすい体制整備を図ることが重要だとの見解を表明した。これに対して支払側の松本真人委員(健康保険組合連合会理事)は、地域包括ケア病棟における高齢救急患者の受入体制の強化を訴えた。

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