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新たな疾患概念:fibrosing alopecia in a pattern distribution(FAPD)とは?

No.5167 (2023年05月06日発行) P.57

平井郁子 (慶應義塾大学医学部皮膚科)

木下美咲 (杏林大学医学部皮膚科講師)

登録日: 2023-05-08

最終更新日: 2023-05-01

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  • 新たな疾患概念であるfibrosing alopecia in a pattern distribution(FAPD)とはどのようなものでしょうか。
    杏林大学・木下美咲先生にご解説をお願いいたします。

    【質問者】平井郁子 慶應義塾大学医学部皮膚科


    【回答】

     【男性型・女性型脱毛症の脱毛分布を呈しながら瘢痕性変化を伴う特異な脱毛疾患である】

    FAPDは最近,脱毛症診療で注目されている疾患概念です。非瘢痕性脱毛症の代表的疾患である男性型・女性型脱毛症にみられるパターン型の脱毛分布を呈しながら,毛孔性扁平苔癬に類似した炎症・瘢痕性変化を伴うのが特徴です。2000年に疾患概念が提唱1)されて以降, 欧米を中心に報告が散見されていますが, ごく最近までアジア圏ではほとんど報告されていませんでした。

    わが国でも認知度は低く,毛髪疾患を専門とする皮膚科医の間でさえ周知されていない疾患でしたが,2022年にわが国のFAPD患者24例の臨床的特徴を解析した論文2)が発表されて以降,徐々に注目されてきています。同論文は,わが国でみられるFAPDの特徴として,10~20代男性の若年発症がきわめて多く,男女ともに頭頂後頭部の同心円状の脱毛と前頭頭頂部の左右対称性の脱毛が組み合わさることで「パラシュート型」と形容できる特異な脱毛パターンを呈する患者が多いことを報告しました。海外報告例とは明らかに疫学的特徴が異なることから,その発症・病態には人種的要因が大きく寄与しているのではないかと推測しています。

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