株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

【識者の眼】「改めて『めざせ、COVID-19流行のない社会』」西條政幸

No.5160 (2023年03月18日発行) P.58

西條政幸 (札幌市保健福祉局・保健所医療政策担当部長、国立感染症研究所名誉所員)

登録日: 2023-03-06

最終更新日: 2023-03-06

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

COVID-19流行が世界や日本で確認されて3年が経過した。今年は札幌雪まつりもリアルに開催され、海外からの旅行者を含め、多くの観光客が札幌市を訪れた。札幌雪まつりの時期に、ビールを含むアルコール飲料を振る舞うお店に入ったところ、海外からの旅行者で溢れていた。さながら、COVID-19流行以前の状況と同じになったと言っても過言ではない。そのような時期を過ごしても、札幌市の新規COVID-19患者報告数は着実に減少している。このまま流行が収まる、収束することを願わずにはいられない。

昨年の3月、オミクロン株によるCOVID-19が流行し始めた最中、私は本誌で「めざせ、COVID-19流行のない社会:The society “With CORONA” or the society “Without CORONA”?」をタイトルとする文章を発表した1)

その考えにいまも変わりはない。COVID-19の世界的流行状況を確認すると、アメリカ大陸、欧州、アフリカ、中近東・東欧、日本を含むアジア、つまり、どの地域でも流行は減衰している。2023年2月24日のWHOの発表によると、2023年2月21日の時点で、全世界でconfirmed casesが7億5726万4511人、fatal casesが685万594人と報告されている2)。日本では、同時点で3309万7952人のconfirmed casesとfatal casesが7万1737人と報告されている。SARS-CoV-2オミクロン株のヒトからヒトへの伝播性の高さと病原性の相対的低さを勘案すると、報告されているconfirmed casesの数倍は既に同ウイルスに感染していると考える。日本では報告されているconfirmed casesの多くはオミクロン株によるCOVID-19患者と言え、確認された患者の3〜4倍の人々がSARS-CoV-2に既に感染しているとすれば、ほとんどの人が既に感染していることになる。

現在の新規患者数の減少には人々における集団免疫の獲得、ワクチン接種による免疫陽性者の増加が寄与している。このことはSARS-CoV-2に対する免疫を高く維持することで、流行を抑えることが可能であることを示唆する。全世界の国々が協力して、実施可能なワクチン接種を全世界で計画的に継続すれば、COVID-19を根絶させることができる(のではないか)と期待している。私はオミクロン株によるCOVID-19でさえ、根絶させることが可能ではないかと考えている。根絶させることを諦めてはいない。

【文献】

1)西條政幸:医事新報. 2022;5110:65.
https://www.jmedj.co.jp/journal/paper/detail.php?id=19201

2)WHO:COVID-19 HOMEPAGE(JAPAN).
https://covid19.who.int/region/wpro/country/jp

西條政幸(札幌市保健福祉局・保健所医療政策担当部長、国立感染症研究所名誉所員)[新型コロナウイルス感染症]

ご意見・ご感想はこちらより

関連記事・論文

もっと見る

関連書籍

もっと見る

関連求人情報

関連物件情報

もっと見る

page top