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痒疹[私の治療]

No.5154 (2023年02月04日発行) P.54

端本宇志 (防衛医科大学校皮膚科学講座准教授)

登録日: 2023-02-03

最終更新日: 2023-02-01

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  • 痒疹はかゆみを伴う孤立性の丘疹や結節(痒疹丘疹・痒疹結節)に特徴づけられる反応性皮膚疾患であり,3病型に大別される。①結節性痒疹では,直径1cm程度の暗紅色で角化の強いドーム状ないし疣状の結節が四肢伸側に好発する。②多形慢性痒疹は,高齢者の腰部・側腹部に出現し,当初は蕁麻疹様紅斑を呈しつつも,じきに紅色から褐色の充実性丘疹となり,時に集簇・癒合して苔癬化を呈する。③(他に分類されない)痒疹は,亜急性痒疹と元来言われていたもので,紅色の丘疹が孤立性に散布され,丘疹の頂点は搔破により点状のびらんとなる。いずれの病型も,アレルギー素因に基づくことや,糖尿病・腎機能障害・肝機能障害などの内臓疾患やリンパ腫などの血液疾患と関連を持つことがある1)
    なお,急性痒疹(ストロフルス)と旧来呼ばれていたものは,現在では急性の虫刺症と同義と考えられており,狭義の痒疹とは別の疾患として扱われている。

    ▶診断のポイント

    かゆみを伴った紅斑や丘疹,結節が孤立性に存在するときに疑う。湿疹病変でも,痒疹丘疹に類似した,頂点にびらんを有した漿液性丘疹を伴う。しかしながら,痒疹は他の発疹形態に移行しない点で湿疹とは異なる。疥癬との鑑別も必須である。疥癬ではダーモスコピーや鏡検で,ヒゼンダニの虫体が確認される。類天疱瘡も,結節性痒疹や多形慢性痒疹に類似した症状を呈することがある。類天疱瘡では,皮膚生検による蛍光抗体直接法で基底膜部にIgGが沈着し,採血検査で抗BP180抗体が陽性になる。

    なお,痒疹では血液検査で末梢血好酸球数増多や血清IgE値上昇をみることが多いが,疾患特異的な検査項目はない。

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