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腎硬化症の診断と治療について

No.5147 (2022年12月17日発行) P.52

久米真司 (滋賀医科大学糖尿病内分泌・腎臓内科講師)

田村功一 (横浜市立大学循環器・腎臓・高血圧内科 主任教授)

登録日: 2022-12-14

最終更新日: 2022-12-13

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  • 腎硬化症による透析導入が増加していますが,どのように診断し治療するべきでしょうか。横浜市立大学・田村功一先生にご解説をお願いします。

    【質問者】

    久米真司 滋賀医科大学糖尿病内分泌・腎臓内科講師


    【回答】

     【通常の降圧薬治療に加えて,SGLT2阻害薬,ARNI,MRBの今後のエビデンスに期待】

    腎硬化症は高血圧による腎の細動脈硬化による病態です。通常は長期間の高血圧罹患・治療歴があり,高血圧性網膜症・心肥大など高血圧性臓器障害がみられ,尿検査では正常蛋白尿(A1区分)や軽度蛋白尿(A2区分)の場合が多いとされています。画像検査では,超音波かCTで,両側腎臓に左右差を認めない萎縮所見がみられ,腎動脈ドプラでは腎動脈本幹には狭窄を認めないとされています。

    腎臓専門医において可能な場合に実施が推奨される腎生検の腎病理所見では,特徴的な光学顕微鏡所見として,全節性硬化,細動脈硝子化,動脈硬化〔小動脈以上(小葉間動脈,弓状動脈)の血管内膜肥厚〕,間質線維化・尿細管萎縮を認めるとされています。

    近年では,腎硬化症による透析導入事例が増加しているとされています。日本透析医学会の報告によると,日本の年別透析導入患者の原疾患推移において,末期腎不全の原因は糖尿病性腎症が最多ですが,2019年末には「腎硬化症」が2番目に多くなっています。ただし,この場合の「腎硬化症」がどの程度正確に診断されているかについては議論の余地があるとされています。一方で,顕性アルブミン尿を伴わない2型糖尿病患者での糸球体濾過量(GFR)低下には,加齢や高血圧を背景とした動脈硬化や脂質異常症の関与も推定され,糖尿病性腎臓病(DKD)には,典型的な糖尿病性腎症に加えて,組織学的には腎硬化症に近い病態も含まれていると考えられます。

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