副腎腫瘍には,自律的にホルモンを産生する内分泌活性(機能性)腫瘍と,ホルモンの自律産生能を有しない内分泌非活性(非機能性)腫瘍がある。内分泌活性副腎腫瘍の中で罹患数の最も多い原発性アルドステロン症は,二次性高血圧症の原因疾患である。そのほかクッシング症候群は,コルチゾールの過剰分泌により高血圧,糖尿病,骨粗鬆症などを合併することの多い疾患である。褐色細胞腫は,カテコールアミンの過剰分泌により高血圧,動悸,頭痛などの症状を呈するが,心筋梗塞,心筋症,大動脈解離など致死的な病態を併発することもある。
原発性アルドステロン症:血漿アルドステロン濃度(PAC)/血漿レニン活性比>200とPAC>120pg/mLで本症を疑う。
クッシング症候群,サブクリニカルクッシング症候群:デキサメタゾン1mg抑制試験(overnight法)で血中コルチゾールが5μg/dL以上の場合クッシング症候群を疑い,3μg/dL以上でサブクリニカルクッシング症候群の可能性を考える。
褐色細胞腫:血中カテコールアミン3分画(アドレナリン,ノルアドレナリンおよびドーパミン),随時尿中メタネフリン・ノルメタネフリンおよび血中遊離メタネフリン・ノルメタネフリンの基準値上限3倍以上の上昇で本疾患を疑う。
単純CTにおいて腫瘍径が4cm以下でCT値が10HU以下であれば,副腎腺腫の可能性が高い。MRIではT2強調画像で腺腫は低信号を示すが,褐色細胞腫と悪性腫瘍は高信号を呈する。また,化学シフトMRIで信号低下が認められれば副腎腺腫の可能性が高く,悪性腫瘍との鑑別に有用である。
内分泌活性副腎腫瘍は腫瘍径にかかわらず手術適応である。内分泌非活性腫瘍であっても,画像検査で内部構造不均一,辺縁不整,局所浸潤,周囲リンパ節の腫大等の悪性を疑う所見があれば副腎摘除術を行う。また,悪性を示唆する所見がない場合でも,腫瘍径が4cm以上の副腎腫瘍は,悪性の可能性が高くなるため,手術の適応と考えられる。
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