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尿膜管囊胞,尿膜管腫瘍[私の治療]

No.5135 (2022年09月24日発行) P.46

篠原信雄 (北海道大学大学院医学研究院腎泌尿器外科学教室教授)

登録日: 2022-09-23

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  • Ⅰ.尿膜管囊胞

    通常は索状物になる尿膜管が遺残し,粘液の貯留や脱落上皮により内腔が拡張し尿膜管囊胞となる。臍側に発生することが多く,感染を伴うと発熱,疼痛,臍からの排膿を認める。膀胱側に発生した場合,感染すると膀胱炎症状や膿尿も認めることがある。

    ▶診断のポイント

    感染を合併してから発見されることが多い。発熱や疼痛,臍からの排膿,膀胱炎症状などの所見と,CT,MRIなどの画像所見により診断される。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    尿膜管囊胞に感染が生じた場合には排膿処置,抗菌薬投与により炎症を改善させる。感染を再発する可能性が高く,通常は炎症改善後に手術により囊胞の摘除を行う。囊胞の部位によっては,臍の合併切除や膀胱の部分切除を要する場合がある。

    ▶治療の実際

    起炎菌に応じた抗菌薬の選択が重要である。起炎菌は大腸菌や黄色ブドウ球菌などが多い。膿汁の培養検査を行い,結果が出るまでは広域の抗菌薬を選択する。その後,培養検査の結果に応じて必要であれば抗菌薬を変更して治療を継続する。また,疼痛症状に対してはNSAIDsなどでの症状緩和を図る。

    一手目 :クラビット500mg錠(レボフロキサシン水和物)1回1錠1日1回(朝食後),ロキソニン60mg錠(ロキソプロフェンナトリウム水和物)1回1錠1日3回(毎食後)併用

    二手目 :〈治療変更〉囊胞摘除

    炎症改善後に手術により囊胞の摘除を行う。術式は開腹もしくは腹腔鏡下手術が選択されるが,近年は整容面で利点の多い腹腔鏡下手術が選択されることが多い。

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