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【文献 pick up】TAVI後遠隔期出血頻度と死亡リスク:わが国の大規模レジストリ

宇津貴史 (医学レポーター)

登録日: 2022-09-15

最終更新日: 2022-09-15

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わが国の、大動脈弁狭窄症に対する経カテーテル的大動脈弁植込み術(TAVI)の臨床応用開始から、10年近くが経過した(承認は2013年)。現在では実施施設数も212を数え(2022年9月)、年間施行例数は2020年時点で8500例に迫る勢いである。

TAVI例の多くは抗血栓療法を継続するため、長期フォローアップにおける出血性イベントの頻度が気になるところだ。特にアジア人における実態は、必ずしも明らかでなかった。しかし9月6日、その点を明らかにするわが国の大規模研究が、JACC Asia誌ウェブサイトで早期公開された[Yamamoto M, et al. 2022.]。

検討に用いられたのは、わが国の多施設前向きレジストリ"OCEAN-TAVI"である。今回の解析対象は、2013~2017年にTAVIを施行後、生存退院した2518例である。平均年齢は84.3歳、30.5%が男性だった。

その結果、退院後(遠隔期)「出血性イベント」は、3年観察時点で7.4%に認められた。出血部位で最も多かったのは「消化管出血」(40.7%)。次いで「脳出血」(25.7%)、「外傷」(15.0%)である。また「大出血」(BARC基準3[Hb低下幅:3−<5/dL、または要輸血]以上)に限っても、発生率は4.9%だった。

さらに、これら退院後「出血性イベント」発生例では、その後の死亡率も、「非出血」例に比べ、およそ3倍の有意高値となっていた。「大出血」例を除外して比較しても、「非出血」例の約2倍となる有意高値だった。

そこで退院後「出血性イベント」の予知因子を探ると、観察開始時背景因子を多変量解析した結果、「血小板数<14.9×104/μL」、NYHA心不全分類「Ⅲ/Ⅳ」(vs. Ⅰ/Ⅱ)、「Clinical Frailty Scale≧4」(日常生活に介護不要も、活動性に制限)の3つが、独立した予知因子として残った。

なお、「抗血栓療法」の種類と「出血性イベント」の相関は、観察開始後の変更が存在することもあり、詳細な解析は示されていない。ただし原著者は、出血高リスク例に対する強力な抗血栓療法の、早期減量・中止が有用である可能性を示唆している。

なお付随する論説では[Jilaihawi H. 2022.]、心房細動(AF)合併TAVI例に対する抗血栓療法にも言及している。

すなわち本研究において、経口抗凝固薬(OAC)「服用」(612例)で「非服用」に比べ、またAF「合併」(502例)で「非合併」に比べ、「大出血」は有意に増加したにもかかわらず、「脳梗塞」発生率はいずれの群間にも差がなかった点に着目。RCT“GALILEO”も引き合いに出しながら[Dangas GD, et al. 2020.]、TAVI施行例のAFに対するOACの必要性について再考する必要性があるとした。

なお韓国における観察研究では、TAVI施行例の10.4%で、入院期間中にAFが検出されたと報告されている[Yoon YH, et al. 2019.]。"OCEAN-TAVI"レジストリは、エドワーズライフサイエンス、メドトロニック、ボストン・サイエンティフィック、アボットメディカルジャパン、第一三共から資金提供を受けている。

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