株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

■NEWS 【欧州心臓病学会(ESC)】HFmrEF/pEFに対するSGLT2阻害薬は、左室駆出率の高低を問わず心血管系転帰を改善か:RCTメタ解析

登録日: 2022-08-31

最終更新日: 2022-08-31

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

DELIVER試験の結果が明らかになり[Solomon SD, et al. 2022.]、SGLT2阻害薬による、左室収縮能の著明低下を認めない心不全(HFmrEF/pEF)転帰改善のエビデンスは、昨年本学会で報告されたEMPEROR-Preserved試験[Anker SD, et al. 2021.]と併せ、2つになった。

そこで、これら2つのランダム化比較試験(RCT)のメタ解析が実施され、バルセロナ(スペイン)で開催された欧州心臓病学会(ESC)学術集会にて27日に報告された。報告者はMuthiah Vaduganathan氏(ハーバード大学、米国)。

本メタ解析は、今回報告されたDELIVER試験の結果が明らかになる前に計画されたものである。評価項目はEMPEROR-Preserved試験の1次評価項目である「心血管系(CV)死亡・心不全初回入院」とした。DELIVER試験では1次評価項目が異なったため、患者個別データを用い、あらためてこの評価項目を再解析した。

試験対象は、EMPEROR-Preserved試験、DELIVER試験とも、若干の違いはあるものの、基本的に左室駆出率(EF)「>40%」の症候性心不全である。両試験合わせ、1万2251例という規模の解析になった。

その結果、SGLT2阻害薬群における「CV死亡・心不全初回入院」の、対プラセボ群ハザード比(HR)は、0.80の有意低値となった(95%信頼区間[CI]:0.73-0.87)。

しかし内訳を見ると、SGLT2阻害薬群で有意なリスク減少を認めたのは「心不全初回入院」のみであり(HR:0.74、95%CI:0.67-0.83)、「CV死亡」は有意差に至らなかった(同:0.88、0.77-1.00)。「総死亡」も同様に、有意なリスク減少は認められなかった(同:0.97、0.88-1.06)。

次に、同評価項目を試験開始時のEF別に解析すると、「41-49%」、「50-59%」、「≧60%」群のいずれにおいても、SGLT2阻害薬群ではリスクが有意に減少していた。また、EF高低が抑制作用に及ぼす交互作用P値は0.42だった。

さらに、「年齢」、「人種」、「BMI:30kg/m2の上下」、「心房細動(AF)合併の有無」などでわけた13のサブグループすべてで、SGLT2阻害薬による「CV死亡・心不全初回入院」抑制作用は一貫していた。

これらよりVaduganathan氏は、患者背景やEFの高低を問わず、SGLT2阻害薬は心不全に有効だと述べた。

本解析は報告と同時に、Lancet誌ウェブサイトにて無料公開されている[Vaduganathan M, et al. 2022.]。

なお本学会では、少数例ながらもう1つ、関連する興味深い報告があった。 イタリアで外来HFpEF患者75例を解析したところ、EMPEROR-Preserved試験、DELIVER試験に参加可能な背景因子を持つ患者の割合は、それぞれ18.1%と17.6%のみだった[Tarantini R, et al. 2022.]。

関連記事・論文

もっと見る

関連書籍

もっと見る

関連求人情報

公立小浜温泉病院

勤務形態: 常勤
募集科目: 消化器内科 2名、呼吸器内科・循環器内科・腎臓内科(泌尿器科)・消化器外科 各1名
勤務地: 長崎県雲仙市

公立小浜温泉病院は、国より移譲を受けて、雲仙市と南島原市で組織する雲仙・南島原保健組合(一部事務組合)が開設する公設民営病院です。
現在、指定管理者制度により医療法人社団 苑田会様へ病院の管理運営を行っていただいております。
2020年3月に新築移転し、2021年4月に病院名を公立新小浜病院から「公立小浜温泉病院」に変更しました。
6階建で波穏やかな橘湾の眺望を望むデイルームを配置し、夕日が橘湾に沈む様子はすばらしいロケーションとなっております。

当病院は島原半島の二次救急医療中核病院として地域医療を支える充実した病院を目指し、BCR等手術室の整備を行いました。医療から介護までの医療設備等環境は整いました。
2022年4月1日より脳神経外科及び一般外科医の先生に常勤医師として勤務していただくことになりました。消化器内科医、呼吸器内科医、循環器内科医及び外科部門で消化器外科医、整形外科医の先生に常勤医師として勤務していただき地域に信頼される病院を目指し歩んでいただける先生をお待ちしております。
又、地域から強い要望がありました透析業務を2020年4月から開始いたしました。透析数25床の能力を有しています。15床から開始いたしましたが、近隣から増床の要望がありお応えしたいと考えますが、そのためには腎臓内科(泌尿器科)医の先生の勤務が必要不可欠です。お待ちいたしております。

●人口(島原半島二次医療圏の雲仙市、南島原市、島原市):126,764人(令和2年国勢調査)
今後はさらに、少子高齢化に対応した訪問看護、訪問介護、訪問診療体制が求められています。又、地域の特色を生かした温泉療法(古くから湯治場として有名で、泉質は塩泉で温泉熱量は日本一)を取り入れてリハビリ療法を充実させた病院を構築していきたいと考えています。

もっと見る

関連物件情報

もっと見る

page top