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【リハ×プライマリ・ケア】ICFで包括的にとらえる─生活機能は「生きることの全体像」[プライマリ・ケアの理論と実践(136)]

No.5110 (2022年04月02日発行) P.14

成瀬 瞳 (金井病院総合診療科)

登録日: 2022-03-31

最終更新日: 2022-03-30

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SUMMARY
患者の生活・人生をより良いものにするためには,患者を生活者として包括的にとらえ,医療・介護の関係者が連携して支援体制を構築することが重要である。そのための共通認識の確立にICFが役立つ。

KEYWORD
ICF(国際生活機能分類)
ICFは生活機能と障害の分類であると同時に,人間を包括的にとらえる概念モデルでもある。“生きることの全体像”と言える生活機能を軸に,そこに影響する健康状態・背景因子の視点と,各要素間の相互作用を重視する点が特徴。

成瀬 瞳(金井病院総合診療科)

PROFILE
理学療法士免許を取得後に医学部を卒業。関西家庭医療学センターで後期研修を修了し,現在は京都の金井病院総合診療科に勤務。家庭医療専門医,日本リハビリテーション医学会認定臨床医,日本医師会認定産業医,日本医師会認定健康スポーツ医。

POLICY・座右の銘
できるかできないかではなく,やるかやらないか

1 ICFとは

ICF(International Classification of Functioning, Disability and Health,国際生活機能分類)とは2001年にWHOで採択された生活機能と障害の国際分類で,1400以上の項目がコード化され,国内外の医療・福祉・教育などの異なる分野をつなぐ共通言語となっている。また,単なる分類ではなく,人間を包括的にとらえる概念モデルとして臨床現場でも活用されている。それまで用いられていたICIDH(International Classification of Impairments, Disability and Handicaps,国際障害分類)は,障害というマイナス面に注目し,原因→結果という一方向の疾病治療論に基づいていたが,ICFは生活機能というプラス面に注目し,そこに問題が生じた状態をマイナス面(障害)としてプラス面(生活機能)の中に位置づける。さらに,生活機能に影響する健康状態,背景因子(環境因子・個人因子)を考慮し,各要素間の相互作用を重視する点が特徴である。

図1に示すように,ICFにおける「生活機能」は①心身機能・構造,②活動,③参加の3つの階層で構成される。それぞれ生物(生命),個人(生活),社会(人生)のレベルに相応し,“生きることの全体像”とも表現される1)。3つの階層は相互に影響し合い,また「健康状態」と「背景因子(環境因子・個人因子)」からも影響を受ける。心身の機能・構造が改善しなくても,活動や参加を促すために環境因子や個人因子を賦活させて,全体としてバランスのとれた新たな生活を再構築することができるという,いわば障害の医学モデルと社会モデルを統合した概念である。

ICFを活用することで,患者の“生きることの全体像”を包括的にとらえるだけでなく,本人・家族と医療・介護・リハビリなどの専門家を含めたチーム全体でものの見方・考え方を共有することができる。その結果,統一したゴールへ向かってリハビリを進め,急性期・回復期・生活期のフェーズをまたいで連携し生活支援体制の構築に役立てることができる。







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