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鶏眼(うおのめ)・胼胝(たこ)[私の治療]

No.5108 (2022年03月19日発行) P.43

浅井俊弥 (浅井皮膚科クリニック院長)

登録日: 2022-03-20

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  • 荷重,圧迫,摩擦などの慢性の機械的刺激による反応性の角質増生で,胼胝は外上方性に表皮が肥厚するため通常痛みはない。鶏眼は内下行性に三角錐状の食い込み(corn)があり,荷重,圧迫によって痛みを生じる。履物との接触によるため,足に生ずることが多い。特に骨・関節の変形が基盤にある高齢者に好発し,ADLの低下の原因となりうる。糖尿病などの末梢知覚障害を伴う患者では,細菌感染を併発してもそれに気づかず,重篤な病態に進行することもあり,定期的な観察,ケア(フットケア)が必要である。

    ▶診断のポイント

    両側1趾,5趾の基部蹠側などの荷重のかかる部位に生じる。胼胝は痛みのない均一に盛り上がった角質の増生で,黄白色調を呈する。鶏眼は白色透明なcornがあり,痛みを伴う。足蹠に生じる場合は尋常性疣贅(ウイルス性いぼ)との鑑別が必要になることが少なくない。

    【必要な検査】

    尋常性疣贅と鶏眼の鑑別は,ダーモスコピーを用いるとよい。疣贅では,表皮,角質の増生が乳頭腫状であり,点状出血を認めることが多い。鶏眼や胼胝が重症のまま放置された状態であれば,糖尿病,血管炎などの末梢神経障害をきたす疾患が基盤にあることを考慮する。胼胝下に難治性の潰瘍がある場合は,下床の骨に骨髄炎を生じている可能性があるので,骨単純X線撮影を行う。関節の変形が明らかな場合には,治療的な対応を兼ね,整形外科受診を勧める。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    胼胝は通常は患者の希望がない限り放置してよい。一方,鶏眼は来院する患者の要望が,痛みがなくなることであるから,処置を行うことになる。サリチル酸含有被覆材(スピール膏など)を用いる治療が一般的には普及しているが,貼付のみで改善することは多くない。かえって,摘除する範囲や深さの判断が難しくなる。

    治療後は再発予防として,荷重が1箇所にかからないように,あるいは疼痛の緩和のため,クッション(医療用では3MレストンTM粘着フォームパッドなど,市販品ではメラミンスポンジなど)を患部に装着し,伸縮性高粘着性のテープで保護することを勧めている。

    関節の変形,病的骨突出,切断端などで,履物との接触が避けられない場合には,理学療法士や靴専門店ないし大手百貨店等に常駐するシューフィッターに相談し,寸法の合った専用の履物(紐付き靴)や中敷きの作製を依頼するとよい。

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