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ポリドクターとの付き合い方─ケアの分断をいかに防ぐか[プライマリ・ケアの理論と実践(124)]

No.5093 (2021年12月04日発行) P.12

小坂鎮太郎 (練馬光が丘病院総合診療科科長)

登録日: 2021-12-02

最終更新日: 2021-12-01

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SUMMARY
日本はその医療システムの特徴から,ポリドクターになりやすい。複数の医師によるケアの質向上の一方で,ケアの分断による再入院や過剰医療などのリスクもある。ケアコーディネーションリングを用い,患者を中心としたケア内容を整理することで,ポリドクターによるケアの分断を防ぐことができる。

KEYWORD
ケアの分断
ケアの分断とは,複数の医療従事者や医療機関がうまくケア連携できず,患者不利益につながることを言う。これは,各医療機関が患者を中心に医療の全体像を見てうまく連携することで解消できる。

小坂鎮太郎(練馬光が丘病院総合診療科科長)

PROFILE
練馬光が丘病院 総合診療科。病院および地域の課題に対するUpstreamistとして,院内合併症や患者安全・医療の質の改善・教育に多職種で取り組み,スマートなケア移行の促進を目標に活動している。

POLICY・座右の銘
吾唯知足

1 背景

日本の医療は皆保険,フリーアクセス,現物給付の3つが特徴である。この3つの柱のおかげで,世界最長の平均寿命や高い保健医療水準が達成されたとされている。フリーアクセスのおかげで複数の専門家にかかりやすく,様々な疾患の専門家から質の高いケアを受けることが可能である。一方で,複数の診療機関を受診することで,重複した検査や処方といった過剰医療,有害事象につながるなど,一貫したケアを受けていないことで生じるケアの分断(fragmentation of care)による不利益も生み出している。

米国の先行研究では,複数の医療機関を利用する患者は,若年,男性,精神疾患の既往といった特徴が挙げられており,入院頻度・治療費が高くなっている。日本ではまだ十分な検証がされておらず,複数の医療機関を受診した患者の割合は,65歳未満は2〜3割,70〜84歳は4割強,85歳以上は4割程度と加齢に伴い増加することが特徴である1)2)

このような点からも,高齢者を診療する際はポリドクターを確認し,整理できるものはないかという視点を持つことが重要である。

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