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ターナー症候群[私の治療]

No.5090 (2021年11月13日発行) P.44

髙橋千恵 (東京大学医学部附属病院小児科)

登録日: 2021-11-16

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  • ターナー症候群(Turner syndrome:TS)は,出生女児の2000~2500人に1人の頻度で認められる染色体異常症で,X染色体の一部もしくは1本全体の欠失に伴って発症する。
    診断の契機となるのは,特徴的な身体所見や低身長,原発性性腺機能低下症であるが,核型に応じて臨床症状にはバリエーションが認められる。そのほかにも心血管系など多臓器にわたる合併症が知られており,各年代に応じた集学的なケアが求められる。

    ▶診断のポイント

    【症状】

    診断の契機となる主な症状は,①特徴的な身体所見(新生児期の手背・足背の浮腫,翼状頸,外反肘,盾状胸など),②-2SDを下回る低身長,③無月経(原発性・続発性)である。このほか,先天性心疾患(大動脈二尖弁,大動脈縮窄症),腎奇形(馬蹄腎),反復性中耳炎とそれに伴う難聴も合併が知られている。

    【検査所見】

    上記症状を認める女児に対して末梢血リンパ球を用いたG分染法を行い,X染色体の欠失を認めれば診断となる。核型は40~50%が45,X,15~25%が45,X/46,XXのモザイク,残りがイソ染色体やリングX染色体などであるが,45,Xモザイク現象は老化プロセスの一部として発症する可能性がある(特に50歳以上)ため,45,X細胞が5%未満の場合はTSとは考えないことが多い1)。Y染色体の成分を持つTSでは,性腺腫瘍のリスクがあるため,注意が必要である。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    【低身長】

    TSは,未治療の場合成人身長が140cm前後であり,一般女性に比べ約20cm低い。TSの低身長に対しては成長ホルモンの効果が知られており,「骨年齢が15歳未満」「標準身長の-2SD以下であるか成長速度が2年以上にわたり標準成長率-1.5SD以下」という基準を満たせば,成長ホルモン治療の適応になる。一部成長ホルモン分泌不全症の合併例もあるが,TSの多くは成長ホルモン分泌正常であるため,その投与量は生理量を超えた量に設定されている。そのため,成長ホルモンにより直接産生刺激を受けるIGF-1(insulin-like growth factor-1)が上昇する可能性がある。治療に関する現在の国際ガイドライン1)では,IGF-1を+2SD未満に保ち,+3SDを超える場合は投与量を減らすことが推奨されている。治療によるキャッチアップはおおむね1cm/年とされ,より若年からの開始が治療効果を高めるため,4~6歳頃からの開始が望ましい。

    TSは胎児期より卵母細胞喪失の加速が認められ,自然に思春期発来が認められるのは約30%,初経が認められるのが約20%だが,周期的な月経をみないことが多い上,早期に閉経するため,最終的には約90%以上が性腺補充療法を必要とする。思春期年齢での性腺補充療法は,二次性徴を発現させることと身長を伸ばすことを目的としており,正常の思春期と同じようにゆっくり進行するように段階的に増量していく。また,身長との兼ね合いはあるものの,骨密度の面から,なるべく健常小児より遅れず開始することが望ましく,12~15歳の間に140cmに達した時点で開始するよう推奨されている2)

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