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膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)診療

No.5079 (2021年08月28日発行) P.45

岡崎和一 (関西医科大学香里病院病院長)

登録日: 2021-08-30

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【2006年に国際診療ガイドラインが公表】

膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)は,もともと粘液産生膵癌として1980年にわが国から提唱された疾患概念から発展し,国際的に認められた疾患概念である。肉眼型により主膵管型,分枝型,混合型に分類される。IPMNの分類,診断検査法,切除適応とその他の治療法,経過観察法などが国際診療ガイドライン(GL)として2006年に国際膵臓学会から公表され,12年と17年に改訂された。17年のGLでは,5mm以上の膵囊胞の精査や長期の経過観察としてはMRCPを中心とした検査が望ましいとされる。膵囊胞の診断における超音波内視鏡ガイド下穿刺吸引法による囊胞液分析と細胞診は鑑別診断・悪性診断に有用だが,穿刺による腹膜播種や胃壁へのがん浸潤リスクのためhigh-risk stigmataやworrisome featuresを有する囊胞に対してはむしろ禁忌とされる。従来,検査の主体だったERCPで採取される膵液は,各種の分析と細胞診に供されるが,その意義についての報告は少なく成果も様々で,日常臨床としてよりも臨床研究として行われるべきとされている。

切除の絶対的適応は,細胞診の高度異型(HGD)陽性と壁在結節の存在である。現状,GLでは浸潤癌を予測する壁在結節のカットオフ値は5mmとされる。浸潤癌あるいはHGDはHGDの可能性を示す所見がない例は経過観察する。MD-IPMNで主膵管径≧10mm,黄疸,壁在結節のある例では,切除が強く勧められている。MD-IPMNの併存膵癌の合併は,本疾患の経過観察の難しさを示唆している。IPMNを切除した例は,それが良性または非浸潤癌で切除断端が陰性であった例であっても,新たにIPMNや併存膵癌の発生する可能性があり,引き続いて経過観察が必要である。

【解説】

岡崎和一 関西医科大学香里病院病院長

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