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【一週一話】危険な花火遊びによる若者の失明

No.4765 (2015年08月22日発行) P.45

田原昭彦 (産業医科大学眼科学教室名誉教授/田原眼科院長)

登録日: 2016-09-08

最終更新日: 2017-02-14

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  • 一般家庭で行われる,おもちゃ花火には,線香花火のような手に持って観賞するものから,打ち上げ花火やロケット花火のように地上に置いて上空に発射し,空中での彩りや飛行,音を楽しむものまで様々なものがある。ただ,いずれのタイプの花火も火薬が使用してあり,遊び方を誤ると身体に障害をきたす危険性がある。近年,相手に向けてロケット花火を発射するなど,危険な花火遊びが流行しており,そのために失明する若年者もいる。1例1)を紹介する。

    友人と打ち上げ花火を手に持って撃ち合う遊びをしていた20歳の男子大学生が,飛んできた花火の火玉で左眼を受傷した。直ちに救急病院で応急処置を受け,翌日,産業医科大学病院眼科を受診した。左視力は0.03(矯正不能)で,左眼瞼は花火が当たった部位に一致して上下眼瞼の上皮が欠損していた。左眼の球結膜は浮腫をきたし,壊死組織と出血が存在した。角膜上皮は全面欠損していた。軽度の前房出血を認めたが,水晶体,硝子体,眼底後極部に明らかな異常はなかった。左結膜嚢で測定したpHが7.6とアルカリ側であったので,2000mLの生理食塩水で持続洗眼を行い,pHは7.2に下がった。左眼に抗菌点眼薬などの点眼,眼瞼創に抗菌眼軟膏の塗布,ステロイドの内服を開始した。

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