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良性家族性血尿(菲薄基底膜病)[私の治療]

No.5070 (2021年06月26日発行) P.41

稲熊大城 (藤田医科大学ばんたね病院医学部内科学教授)

湯澤由紀夫 (藤田医科大学医学部腎臓内科学教授)

登録日: 2021-06-25

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  • 良性家族性血尿は,血尿を主体とした尿異常を認める非進行性の疾患である。広義の遺伝性腎疾患であり,病理組織所見上,糸球体基底膜の広範な菲薄化を認めることが多く,菲薄基底膜病と同義とされることもある。本症は難聴などの腎外合併症を認めることはないが,アルポート症候群との関連が指摘されている1)

    ▶診断のポイント

    腎生検によって広範な糸球体基底膜の菲薄化を認める場合,本症の可能性が高くなるが,しばしば常染色体優性ならびに劣性アルポート症候群との鑑別が問題となる。本症では,腎組織においてⅣ型コラーゲンα3,α4およびα5鎖が正常に発現していることが特徴で,アルポート症候群との鑑別ポイントである。しかしながら,血尿のみを認める場合,腎生検が施行されないことが多いため,確定診断に至らない症例も少なくない。難聴ならびに眼所見は,X連鎖型アルポート症候群に特徴的であるが,常染色体型では合併率が低く,鑑別の決め手にはならない。良性家族性血尿の原因遺伝子はⅣ型コラーゲン遺伝子であるが,多様性が指摘されている。Ⅳ型コラーゲンα3とα4鎖をコードしているCOL4A3およびCOL4A4遺伝子変異のヘテロ接合体を本症の40~50%に認める2)

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    基本的には経過観察を行い,尿所見の変化ならびに腎機能の推移をフォローする。血尿が唯一の所見ではあるが,中には尿蛋白排泄(時として1g/日以上),高血圧の合併,あるいは進行性に腎機能低下をきたす症例があるので,その場合は常に他の腎疾患の可能性を念頭に置きながら治療を開始する。アルポート症候群においては,レニン・アンジオテンシン系阻害薬が推奨されており1),本症においても特に妨げとなるものがなければ使用している。

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