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「医療の鉄の三角形」説をどう読むか?[深層を読む・真相を解く(109)]

No.5058 (2021年04月03日発行) P.54

二木 立 (日本福祉大学名誉教授)

登録日: 2021-03-31

最終更新日: 2021-03-30

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古い話で恐縮ですが、私は本連載(91)(4984号、2019年11月2日)で、「医療の質、アクセス、費用の3つを同時に満たすことはできない」との通説(トリレンマ説)を検討し、以下の3点を指摘しました。①トリレンマの根拠を明示した文献はない。②トリレンマの「反証」は複数存在する。③医療政策の目標には上記3つ以外にも、さまざまなものが提起されている。

①に関して、昨年11月、高山一夫京都橘大学教授(医療経済学)から、英語版のWikipediaには、トリレンマ説と同意の“Iron Triangle of Health Care”(「医療の鉄の三角形」)があり、それの提唱者はKissick氏と明記されていると教えていただきました。そこで、氏がこの概念を初めて提起した著書“Medicine’s Dilemma”(1994。『医療のジレンマ』未邦訳)を読みました。併せて、Wikipediaで引用されている他の5文献、及びPubMedで検索し、この概念が用いられている32論文を検討しました。その結果、「医療の鉄の三角形」説は、アメリカではそれなりに知られているが、原著を含めてそれの根拠を実証的または理論的に説明した文献はないことを確認しました。以下、その探索プロセスを簡単に述べます。

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