No.5057 (2021年03月27日発行) P.63
大野 智 (島根大学医学部附属病院臨床研究センター長)
登録日: 2021-03-02
最終更新日: 2021-03-02
インターネットは、情報検索において便利なツールであることに疑いの余地はない。しかし、スマホやパソコンの画面に表示される医療・健康情報の真偽のほどは玉石混交であることを読者の皆さんも実感していることと思う。
このような現状を鑑み、2018年には国立がん研究センターとヤフーが連携し、「Yahoo!検索」で「がん」に関連する情報を検索した際、同センターが運営する「がん情報サービス」の情報が優先的に表示される取り組みも始まっている1)。具体的には「胃がん」「肺がん」などで検索すると、がん情報サービスのページが検索結果のトップに表示されるというものである。さらに、「胃がん 手術」などで検索しても上位に表示されている(2021年2月19日現在)。しかし、「胃がん 健康食品」で検索すると“胃がん克服者の声”“ゲルソン療法にんじんジュース”“医者が考案した命のスープ”といった、目を引くタイトルの広告ページがずらずらと表示されてくる。残念ながら、「がん情報サービス」のページはヒットしてこない。
ところで、私事であるが、筆者自身、厚生労働省の事業で「統合医療」情報発信サイト[eJIM]2)の作成に取り組んでいる。特段SEO(search engine optimization、検索エンジン最適化)対策をしているわけではないが、「オメガ3脂肪酸」「ビタミンD」などの単語で検索すると当該サイトが上位に表示されていることが確認でき、胸をなでおろしている。しかし、ページのトップは広告が占拠している(原稿執筆時、Yahoo!検索では広告が4件表示されていた)。Yahoo!検索にしろ、Google検索にしろ、営利企業が運営しているのであるから、収益源のひとつである広告を排除することは無理難題であろう。苦言っぽくなってしまうが、広告ページには、老眼の進んだ筆者の目ではわかりにくい控えめな「広告」の表示ではなく、できれば、ひと目ではっきりと「広告」とわかるように改善・工夫することはできないものだろうかと個人的に思うところがある。
【文献】
1)国立がん研究センタープレスリリース:国立がん研究センターとヤフーが連携
[https://www.ncc.go.jp/jp/information/pr_release/2018/0130/index.html]
2)厚生労働省「統合医療」に係る情報発信等推進事業:「統合医療」情報発信サイト[eJIM]
[https://www.ejim.ncgg.go.jp/]
大野 智(島根大学医学部附属病院臨床研究センター長)[統合医療・補完代替療法⑮]