神経芽腫は,小児がんの代表的疾患であり,副腎や後腹膜,後縦隔に発生する。日本では1年間におよそ150~200人の発症があるとされており,疾患頻度としては白血病,脳腫瘍に続いて第3位に位置する。一般的に,1歳半未満に発症するタイプは予後良好であることが多く,1歳半以降に発症する例は進行例であり,かつ予後不良であることが多い。
神経芽腫の診断は,リスク分類が重要である。従来,国際神経芽腫病期分類(INSS)が用いられてきたが,最近ではMYCN遺伝子増幅の有無,11番染色体長腕のヘテロ接合性の喪失(11qLOH)の有無,ploidyなどを参考にした国際神経芽腫リスクグループ病期分類(INRGSS)を用いることが多い。INRGSSでは,L1,L2,M,MSに分類されるが,日本の現状では11qLOHの測定は研究レベルであり,ルーチンには行われていない。
発症部位と臨床病期によって症状は異なる。腹部腫瘤や肝腫大が初発症状となることが多いが,進行例の場合,骨転移に伴う骨痛,歩行障害や眼球突出,頭部腫瘤などを認める。縦隔や後腹膜の交感神経節発症の場合,ダンベル型腫瘍となることがあり,腫瘍による脊髄圧迫のため歩行障害,下肢麻痺などの症状を認めることもある。特異的な症状として,オプソクローヌス・ミオクローヌス症候群(opsoclonus-myoclonus syndrome:OMS)を合併することがある。
画像診断は,造影CT,MRI,131I-MIBGシンチグラフィーが有用である。ごく稀にMIBGの取り込みが認められない腫瘍があり,その場合はPET検査やMRI検査〔拡散強調画像,拡散係数画像(ADC map)〕が有用となる。
神経芽腫の治療方針は,臨床病期の決定とINRGSSリスク分類を行うことから始まり,化学療法,手術療法,放射線療法による集学的治療が行われる。リスク分類に応じて,日本小児がん研究グループ(JCCG)神経芽腫委員会(JNBSG)による臨床試験が進行中であり,可能であれば多施設共同臨床試験に参加することが望ましい。
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