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視神経炎とその治療

No.5039 (2020年11月21日発行) P.53

栗本拓治  (神戸大学眼科)

登録日: 2020-11-18

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【ステロイド抵抗性NMOSDに対する早期の単純血漿交換は有効である】

2005年,視神経脊髄炎(NMO)の自己抗体が,水分子のアクアポリン4(AQP4)に対する特異抗体であることが明らかにされ,アジア人特有の多発性硬化症の視神経脊髄炎型の多くが抗AQP4抗体陽性となり,NMOであることが判明した。さらに,抗AQP4抗体陽性例に,視神経炎以外に3椎体未満の脊髄炎,最後野延髄病変,脳室上衣病変などの障害例が多くみられ,15年の国際診断基準にて,抗AQP4抗体陰性でも他の主要病変を認めれば診断可能な,視神経脊髄炎関連疾患(NMO SD)という疾患概念が提唱された。抗AQP4抗体発見から10年間で視神経炎の分類が大きく変わった。

NMOSDの急性増悪期は,メチルプレドニゾロン(mPSL)点滴療法が第一選択だが,mPSLの反応性は約50~70%である。近年,ステロイド抵抗性NMOSDに対する単純血漿交換(PE)の有効性が報告されている。Bonnanらは,PE導入前後の神経症状評価尺度(EDSS)スコアの変化量と導入時期を検討した結果,早期導入が神経障害の回復率を上昇させたことを報告した1)。Moriらは,ステロイド抵抗性NMOSDの視神経炎に対して,PE導入後早期に視機能回復が高頻度にみられた2)と報告している。今後,さらなる検討が期待される。

【文献】

1) Bonnan M, et al:J Neurol Neurosurg Psychiatry. 2018;89(4):346-51.

2) Mori S, et al:Jpn J Ophthalmol. 2018;62(4): 525-30.

【解説】

栗本拓治 神戸大学眼科

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