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重症薬疹[私の治療]

No.5038 (2020年11月14日発行) P.44

阿部理一郎 (新潟大学大学院医歯学総合研究科分子細胞医学専攻細胞機能講座皮膚科学分野教授)

登録日: 2020-11-15

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  • 薬疹の中でも,重篤な全身症状を伴い,時に致死的である重症薬疹にはStevens-Johnson症候群(SJS),中毒性表皮壊死症(toxic epidermal necrolysis:TEN),薬剤性過敏症症候群(drug-induced hypersensitivity syndrome:DIHS)がある。これらの疾患をみた場合は,被疑薬を可能な限り中止・変更し,速やかに皮膚科専門医に紹介する必要がある。

    ▶診断のポイント

    全身の皮膚に短期間で紅斑が拡大し,発熱や全身倦怠感などの全身症状を伴う。SJS/TENでは水疱,びらん,粘膜疹を認めるが,わが国では水疱,びらんなどの表皮剝離が体表面積の10%未満のものをSJS,10%以上のものをTENと定義している。一方,DIHSでは全身の紅斑に加え表在リンパ節腫脹や末梢血・肝機能異常を認める。顔面の浮腫と口囲の丘疹や鱗屑を認めるのが特徴である。診断にあたってはSJS/TEN,DIHSともに診断基準を参照する。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    薬歴から被疑薬を推測し,早急に中止または他剤へ変更する。通常は薬剤開始後2週間程度で発症することが多いが,DIHSでは2~6週間後と比較的遅く発症するため,注意を要する。病型により比較的発症頻度が高い薬剤があり,薬剤同定の参考になる(表)。いずれの病型も全身管理のため,入院治療を原則とする。

    SJS/TENでは,高用量のステロイド内服を行い,拡大が続く場合はステロイドパルス療法を行う。効果が不十分であればγグロブリン大量静注(IVIg)療法や血漿交換療法を考慮する。水疱,びらん面からの細菌感染により敗血症をきたすことがあり,熱傷に準じた処置を要する。

    眼病変の後遺症として視力障害や失明をきたすことがあるため,早期の眼科受診を必要とする。

    DIHSは全身の紅斑に加え,高熱,表在リンパ節腫脹,末梢血異常や肝機能障害を伴う。経過中ヒトヘルペスウイルス6(HHV-6)やサイトメガロウイルス(CMV)など,ウイルスの再活性化がみられるのが特徴的であり,薬剤中止後も症状が遷延する。治療としては,軽症であればvery strongクラスのステロイド外用のみで経過をみることも可能である。中等症以上では中等量~高用量のステロイド内服を行うが,経過中に複数回皮疹や肝機能障害が再燃・遷延することがあるため,減量には慎重を要する。

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