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【私の一冊】『Dr.夏秋の臨床図鑑 虫と皮膚炎』

No.4704 (2014年06月21日発行) P.78

渡辺尚彦 (東京女子医科大学東医療センター内科准教授)

登録日: 2016-09-08

最終更新日: 2017-03-30

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  • 著者の夏秋優氏は兵庫医科大学 皮膚科准教授。虫による皮膚炎は氏の専門分野であり、ライフワークとしてきたテーマ。皮膚疾患の漢方治療でも知られる。
    (学研メディカル秀潤社、2013年刊)

    小学生時代と医学生時代の記憶の融合

    小学生時代の理科の教科書に、蛾の一種イラガのマユが載っていた。マユは、サクラ・カキ・ナシ・ウメ・リンゴの木などで見かけることがあり、独特の茶色い線が入った殻を持ち、スズメノショウベンタゴとも呼ばれ、中の幼虫はタナゴ釣りの餌にもなる。

    イラガの卵は、6~8月にオコゼ、デンキムシなどと呼ばれる幼虫となる。幼虫は9月にマユをつくって中に納まり、秋から春まで過ごして5月頃にサナギになる。8カ月間幼虫のままでいて1カ月後成虫となる。

    たくさんのとげを持つ幼虫に触れると、毒液が皮膚に注入され電撃的な激しい疼痛を生じる。「イラガの幼虫のとげに注意」という小学生時代の記憶は、「イラガの幼虫は皮膚炎を起こす」という医学生時代の皮膚科の教科書で蘇った。そして、今回、学会の書籍コーナーで本書を見つけ、「イラガの幼虫による皮膚炎」の項で、小学生時代と医学生時代の記憶がつながった。

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