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生活習慣病の重症化予防のために─健診・プライマリ・ケア(治療)・職場の連携[プライマリ・ケアの理論と実践(71)]

No.5026 (2020年08月22日発行) P.12

福田 洋 (順天堂大学大学院医学研究科先端予防医学・健康情報学講座特任教授)

登録日: 2020-08-20

最終更新日: 2020-08-19

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SUMMARY
働き盛り世代のプライマリ・ケアにおいて,産業保健との連携は必須である。糖尿病,高血圧,脂質異常症のハイリスク者の未治療率は,それぞれ5割,7割,9割であり,重症化予防には従業員のヘルスリテラシー向上,健康経営,産業医とプライマリ・ケア医の連携が必要である。

KEYWORD
ヘルスリテラシー
「健康情報にアクセスし,理解し,使える能力」と定義される。臨床場面ではリスクととらえられるが,公衆衛生では社会資産であり,経済産業省の健康経営優良法人の認定基準には従業員の「ヘルスリテラシーの向上」が含まれている。 

福田 洋(順天堂大学大学院医学研究科先端予防医学・健康情報学講座特任教授)

PROFILE
山形大学医学部卒業。順天堂大学大学院(公衆衛生学)修了。順天堂大学医学部総合診療科先任准教授を経て2020年より現職。産業衛生指導医,日本プライマリ・ケア連合学会認定指導医,社会医学系指導医,労働衛生コンサルタント。さんぽ会(産業保健研究会)会長。

POLICY・座右の銘

すべての働く人に有効で感謝される予防医療を

1 プライマリ・ケア(治療)と職場の連携

職場の産業医や産業保健スタッフが健診等で治療が必要と判断し,患者をプライマリ・ケア(治療)の場に紹介した際,プライマリ・ケア医に期待することは,①患者の就労背景について理解すること,②紹介患者を適切に治療につなげることの2点である。

1患者の就労背景について理解すること

ICOH(International Commission on Occupational Health,国際産業衛生学会)のBlind Spot(プライマリ・ケアにおける盲点)のセッションでの報告によると,プライマリ・ケア外来で初診時の患者の問診において,主訴や既往歴,現病歴に比べて,職業歴についての情報取得が27%と少ないことが指摘されている。職業について尋ねることで,患者の就労背景について理解を深めることが診断や治療の一助となる。自覚症状を伴わないことの多い生活習慣病の未受診・未治療の背景には,「仕事が忙しい」「面倒くさい」などの働き方に起因する要因も隠れている(図1上)1)。治療中のコントロール不良者や治療中断者が一定以上存在することを考慮して,プライマリ・ケア医としてQI(quality indicator)を用いた治療の質の維持を行い,勤務を続けながら必要な治療を継続するための指導を行うことが可能となる。

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