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血球貪食性リンパ組織球症(HLH)の診療と課題

No.5025 (2020年08月15日発行) P.48

石村匡崇 (九州大学小児科助教講師)

江口克秀 (九州大学小児科)

大賀正一 (九州大学小児科教授)

登録日: 2020-08-15

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【サイトカインストームを制御する新規免疫調節療法の開発が必要である】

HLHは,制御不能な高サイトカイン血症により惹起される疾患で,発熱,汎血球減少,播種性血管内凝固を呈し,骨髄の血球貪食像を特徴とする。遺伝子異常による一次性と,EBウイルス(EBV)感染などを契機に発症する二次性に分類される。若年性特発性関節炎に伴うマクロファージ活性化症候群も共通病態である。

一次性HLHは,細胞傷害性顆粒の産生と代謝に関わる分子(PRF1,UNC13D,XIAP遺伝子)の異常による。2017年に原発性免疫不全症の遺伝子検査が保険収載され,迅速な診断が可能となった。成人発症HLHでも複合ヘテロ変異(晩期発症型)や,片アリル変異が同定される例があり,多型との境界が難しくなってきた。EBV-HLHは東アジアに多く遺伝的背景が示唆されるが,まだ原因は同定されていない。一次性HLHの根治には造血細胞移植が必須で,「HLH2004プロトコル」に基づき治療する1)。二次性HLHのうち,新生児の単純ヘルペスウイルス関連HLHは特に予後不良で,治療法は未確立である。EBV-HLHは16年にガイドラインが策定されたが2),症例ごとに重症度が異なり移植の適応が難しい3)。基礎疾患ごとに免疫病態を明らかにして,サイトカインストームを制御する新規免疫調節療法の開発が必要である。

【文献】

1) Bergsten E, et al:Blood. 2017;130(25):2728-38.

2) 日本小児感染症学会, 監:慢性活動性EBウイルス感染症とその類縁疾患の診療ガイドライン 2016. 診断と治療社, 2016.

3) Shiraishi A, et al:Pediatr Blood Cancer. 2012;59 (2):265-70.

【解説】

石村匡崇*1,江口克秀,大賀正一*2  九州大学小児科 *1助教講師 *2教授

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