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気管支喘息におけるアレルゲン特異的免疫療法の効果は?

No.5017 (2020年06月20日発行) P.49

小屋俊之  (新潟大学大学院医歯学総合研究科 呼吸器・感染症内科准教授)

中込一之  (埼玉医科大学呼吸器内科准教授/ アレルギーセンター)

登録日: 2020-06-18

最終更新日: 2020-06-16

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  • 気管支喘息におけるアレルゲン特異的免疫療法の効果についてご教示下さい。埼玉医科大学・中込一之先生にご回答をお願いします。

    【質問者】

    小屋俊之 新潟大学大学院医歯学総合研究科 呼吸器・感染症内科准教授


    【回答】

    【症状改善効果・薬物減量効果だけでなく,新規アレルゲン感作抑制などの自然経過修飾作用を持つ】

    吸入ステロイド(inhaled corticosteroid:ICS)を中心とした薬物療法の進歩により,気管支喘息はコントロールが良好な疾患となりました。しかし,ICSは喘息の自然経過を修飾しないことが判明しており,いわゆる対症療法にすぎないと位置づけされつつあります。一方,アレルゲン免疫療法はアレルギー疾患における免疫学的寛解を期待できる現存唯一の治療法です。免疫療法は,疾患の自然経過を修飾する可能性を有する点で,薬物療法とは異なった意義が期待できます1)。皮下注射による免疫療法(subcutaneous immunotherapy:SCIT)と舌下免疫療法(sublingual immunotherapy:SLIT)があります。

    気管支喘息におけるSCITは,臨床症状と気道過敏性を改善させ,薬物減量効果を発揮することがmeta-analysisで確認されています2)。さらにMaestrelliらは,ダニ喘息患者を対象としてガイドライン治療を行った上で,ダニSCITの追加効果を検証したところ,免疫療法群でβ2刺激薬吸入の頓用回数が減少し,ピークフロー値が有意に改善したことを報告しました3)。すなわち,ダニSCITは,標準治療を施行した上でも追加効果があると考えられます。

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