【質問者】
小屋俊之 新潟大学大学院医歯学総合研究科 呼吸器・感染症内科准教授
【症状改善効果・薬物減量効果だけでなく,新規アレルゲン感作抑制などの自然経過修飾作用を持つ】
吸入ステロイド(inhaled corticosteroid:ICS)を中心とした薬物療法の進歩により,気管支喘息はコントロールが良好な疾患となりました。しかし,ICSは喘息の自然経過を修飾しないことが判明しており,いわゆる対症療法にすぎないと位置づけされつつあります。一方,アレルゲン免疫療法はアレルギー疾患における免疫学的寛解を期待できる現存唯一の治療法です。免疫療法は,疾患の自然経過を修飾する可能性を有する点で,薬物療法とは異なった意義が期待できます1)。皮下注射による免疫療法(subcutaneous immunotherapy:SCIT)と舌下免疫療法(sublingual immunotherapy:SLIT)があります。
気管支喘息におけるSCITは,臨床症状と気道過敏性を改善させ,薬物減量効果を発揮することがmeta-analysisで確認されています2)。さらにMaestrelliらは,ダニ喘息患者を対象としてガイドライン治療を行った上で,ダニSCITの追加効果を検証したところ,免疫療法群でβ2刺激薬吸入の頓用回数が減少し,ピークフロー値が有意に改善したことを報告しました3)。すなわち,ダニSCITは,標準治療を施行した上でも追加効果があると考えられます。
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