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特集:インスリン療法導入の実際

No.5007 (2020年04月11日発行) P.18

岩岡秀明 (船橋市立医療センター代謝内科部長)

登録日: 2020-04-10

最終更新日: 2020-04-08

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1981年千葉大学卒業。千葉大学医学部附属病院および国立柏病院にて内科臨床研修終了後,糖尿病研究室に所属。国立佐倉病院内科,成田赤十字病院内科等を経て,2002年より現職

1 インスリン分泌動態の理解
・基礎分泌:空腹時血糖と食間の肝臓での糖産生やグリコーゲン分解を調節
・追加分泌:食後血糖の上昇を抑制
・1型糖尿病:膵臓のβ細胞は著明に破壊され,インスリン分泌は基礎分泌,追加分泌ともに高度に低下,あるいは消失
・2型糖尿病:初期には追加分泌の立ち上がりが遅れ,やがて分泌量の低下も起こるため食後高血糖が遷延

2 インスリンの絶対的・相対的適応の判断
・インスリンの絶対的適応:入院加療が原則。インスリン依存状態,高血糖性の昏睡である場合は,早急に糖尿病専門医または救急専門医がいる施設に紹介
・インスリンの相対的適応:外来でインスリン導入。インスリン非依存状態でも,空腹時血糖値250mg/dL以上または随時血糖値350mg/dL以上ならば適応

3 各種インスリン療法の使いわけ
(1)インスリン4回注射法(BBT)
 インスリンの絶対的適応,および相対的適応でも高血糖が著明で糖毒性を早期に解除したい場合
(2)BOT(経口血糖降下薬に1日1回の基礎インスリンを追加する方法)
 経口血糖降下薬を服用している患者で血糖コントロールが不良な場合
(3)基礎インスリンと追加インスリン1〜2回を注射する方法
 BOTで空腹時血糖値が目標に達しても食後血糖が高値である場合や血糖コントロールの改善が不十分な場合
(4)混合型インスリンの2回注射法
 BBTが受け入れられない患者の場合
(5)GLP-1受容体作動薬と基礎インスリンの併用療法
 GLP-1受容体作動薬で良好な血糖コントロールが得られない場合

4 GLP-1受容体作動薬について
・適応:肥満している2型糖尿病でインスリン分泌能が保たれている場合は,基礎インスリンよりも先に使用する
・エビデンスがあるGLP-1受容体作動薬
①デュラグルチド(トルリシティ®
②リラグルチド(ビクトーザ®
③セマグルチド(オゼンピック®)(発売準備中)

5 適切なインスリン療法を選択するために
2型糖尿病では,すべての患者にBBTを導入する必要はないので,各インスリン療法の利点・欠点をよく吟味して,患者ごとに適切な治療法を選択する。

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