世界の珍しいニュースを特集している番組を見ていた。アメリカ人の3歳の女の子のニュースだった。女の子は小さな瓶に入ったジュースを飲み終わっても口にくわえていたところ、瓶に舌が入ってしまった。お母さんが瓶を引っ張っても抜けない、女の子は痛がり、舌はどんどん変色していくため救急病院へ。様々な医師が様々な処置をしてもダメだった。このまま無駄に時間が過ぎれば舌が壊死に陥ってしまう。苦渋の決断で全身麻酔下に処置をすることに。麻酔を導入し、筋弛緩薬を使用した直後にポロリ。処置もせず、舌も一時的な虚血で問題なく解決した、という内容であった。
この時、同じような症例を経験した十数年前を思い出した。みなさんだったらどうしますか。正確に何歳かは覚えていないが幼稚園生の女の子。飲料水の小さな瓶をくわえていたところ舌が入ってしまい抜けない。お母さんが何度抜こうと試みても痛がるだけ。半透明の瓶のガラス越しには変色している舌が見え、お母さんはパニック状態で救急車を呼んで当院に搬送された。当初、私は軽く考えていた。私だけでなく周りにいたスタッフも一様に楽観的であった。両手で口にくわえた瓶を持った女の子が搬送されてきた。私は「大丈夫だよ。痛いことしないからね。」と優しい声で話しながら、瓶を抜こうと試みた。抜けない……。
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