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囊胞性腎疾患[私の治療]

No.4989 (2019年12月07日発行) P.50

竹村光太郎 (東京大学医学部泌尿器科学教室)

山田雄太 (東京大学医学部泌尿器科学教室講師)

久米春喜 (東京大学医学部泌尿器科学教室教授)

登録日: 2019-12-04

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  • 種々の原因に伴い腎臓に囊胞が生じる疾患であり,先天性腎囊胞,後天性腎囊胞に分類される。先天性腎囊胞は常染色体優性多発性囊胞腎(autosomal dominant polycystic kidney disease:ADPKD),常染色体劣性多発性囊胞腎(autosomal recessive polycystic kidney disease:ARPKD)が頻度の高い疾患である。また,遺伝性疾患である結節性硬化症では,多発性腎囊胞の合併が知られている。後天性腎囊胞は単純性腎囊胞,傍腎盂囊胞,多囊胞化萎縮腎等の多数の疾患にわけられる。大多数は単純性腎囊胞に分類され,一部にがんを伴い手術を必要とするものや,遺伝性疾患として透析導入となるものが含まれ,傍腎盂囊胞はしばしば水腎症との鑑別が必要となる。

    ▶診断のポイント

    【分類】

    ARPKDは胎生期や小児期に診断されることが多いため,ここでは割愛する。単純性腎囊胞は単房性,壁は平滑であり,尿路との交通がない囊胞である。傍腎盂囊胞は単純性腎囊胞が腎盂周囲の実質より発生し,拡大したものである。多囊胞化萎縮腎は長期透析に伴い,両側の腎臓に囊胞が多発する疾患である。また,通常より腎細胞癌の合併が多いとされているものの,多囊胞化萎縮腎に合併する腎細胞癌の予後は,一般的に良好である。

    ADPKDは遺伝子(PKD1,PKD2)の異常に伴い,両側に多数の囊胞が発生する。加齢とともに囊胞が増加,腎機能低下を起こし,半数は末期腎不全となる。

    【症状】

    多くは無症状で経過し,超音波検査等の画像検査にて指摘される。大きな囊胞になると,腹部腫瘤として自覚することがあり,腹痛や腰痛,血尿を認めることもある。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    画像検査を行い,囊胞をBosniak分類Ⅰ~Ⅳに分類する1)。分類を用いて良性,悪性鑑別の目安として治療を行っていく。また,傍腎盂囊胞はCTウログラフィーにて水腎症との鑑別を行う。

    多囊胞化萎縮腎は腎細胞癌の合併が多いため,症状や悪性所見を疑わなくとも,適宜CTや超音波での経過観察が必要である。

    両側腎臓に多発する囊胞を認め,家族歴がある場合はADPKDを疑う必要があり,適宜専門医と相談し,治療介入を行う。ADPKDは脳動脈瘤や囊胞感染・出血,尿路結石,心臓弁膜症,肝囊胞の合併が知られており,脳動脈瘤,心臓弁膜症スクリーニングのために,頭部MRAや心臓超音波検査を検討する必要がある2)

    【Bosniak分類】

    カテゴリーⅠ:単房性,薄い囊胞壁,隔壁・石灰化・造影効果のない水濃度。
    カテゴリーⅡ:少数の薄い隔壁,小さな石灰化を有する,3cm以下の高濃度囊胞。
    カテゴリーⅡF:多数の薄い隔壁,少しの造影効果,3cm以上の高濃度性囊胞。
    カテゴリーⅢ:隔壁が不整,明瞭な造影効果を有する。
    カテゴリーⅣ:壁や隔壁に明らかな悪性所見を有する腫瘤を認める。

    【ADPKDの診断基準】3)
    〈家族内発生が確認されている場合〉

    ①超音波断層像で両腎に各々3個以上確認されているもの。
    ②CT,MRIでは両腎に囊胞が各々5個以上確認されているもの。

    〈家族内発生が確認されていない場合〉

    ①15歳以下ではCT,MRIまたは超音波断層像で各々3個以上確認され,以下の疾患が除外される場合。
    ②16歳以上ではCT,MRIまたは超音波断層像で各々5個以上確認され,以下の疾患が除外される場合。

    〈除外すべき疾患〉

    多発性単純性腎囊胞,尿細管性アシドーシス,多囊胞腎,多房性腎囊胞,髄質囊胞性疾患,多囊胞化萎縮腎,常染色体劣性多発性囊胞腎。

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