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“便秘”にエコー─あるのかないのか,硬いのか軟らかいのか,それが問題だ[プライマリ・ケアの理論と実践(41)]

No.4988 (2019年11月30日発行) P.8

植村和平 (国民健康保険上川医療センター)

登録日: 2019-11-28

最終更新日: 2019-11-27

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SUMMARY
プライマリ・ケアの現場でよく出会う便秘は,小児では腹痛の原因であり,高齢者では有訴率の高い受診理由である。そして実は便秘を超音波診断装置で評価できるのである。直腸内の便貯留の有無と便性状を評価すればなんと治療方針にもつながる。

KEYWORD
便秘と便秘症
「慢性便秘症診療ガイドライン2017」では便秘の定義を“本来体外に排出すべき糞便を十分量かつ快適に排出できない状態”としている。これは便秘を疾患名や症状名ではなく,状態名としている。つまり“便秘”を訴える患者は,症状なので便秘症となる。



植村和平(国民健康保険上川医療センター)

PROFILE
2017年自治医科大学卒業。
北海道家庭医療学センターの総合診療専門医プログラム在籍。砂川市立病院(北海道)の研修を経て,上川医療センターに勤務。外来超音波診療絶賛施行中で“楽しく”エコレジとして過ごす。

POLICY・座右の銘
一期一会


1 “便秘”になぜエコー?

小児の腹痛は約半数が便秘によるもの1)と報告されている。高齢者では10人に1人が便秘症で悩んでいる2)。つまり便秘症はプライマリ・ケアの現場でよく出会う。

プライマリ・ケアの現場の便秘症診療では,問診,聴診・腹部触診を含む身体診察や必要に応じた腹部単純X線写真(Ax-p),computed tomography(CT)などの画像検査の結果から総合的に評価し,便秘症の原因検索と治療を行う。Ax-pは腸管ガス像と液面形成の情報を得やすい一方で,直腸内の便貯留や便性状の評価は困難な場合がある。CTは腹部全体を評価可能であるが,放射線被曝(例:生殖器への影響)の問題がある。

こうした中,非侵襲的でかつ得られる情報量も多いのが超音波診断装置(エコー)である。検者依存性を含む客観性の問題があるが,技術を習得すれば,医師だけでなく看護師も活用できる。ポケットエコーであれば在宅など設備が乏しい環境でも有効である。

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