株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

■NEWS 看護必要度、該当患者割合の判定基準で意見の応酬─中医協・総会

No.4988 (2019年11月30日発行) P.66

登録日: 2019-11-19

最終更新日: 2019-11-19

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

中央社会保険医療協議会・総会は1115日、急性期入院医療や、医薬品の効率的かつ有効・安全な使用について議論した。急性期入院医療では、一般病棟用の「重症度、医療・看護必要度(以下、看護必要度)」の該当患者割合の判定基準である、いわゆる「基準2」を巡って、急性期の指標としてはふさわしくないと見直し、または廃止を求める支払側と、その妥当性を主張して存続を求める診療側の意見が対立する場面があった。

基準22018年度改定時に導入された該当患者割合の判定基準。B項目の「診療・療養上の指示が通じない」(B14)、「危険行動あり」(B15)に該当する患者で、A得点が1点以上、かつB得点が3点以上に該当する場合、と定められている。だが、入院医療等の調査・評価分科会の分析データなどによると、基準2のみに該当する患者は他の基準に比べて年齢が高く、認知症やせん妄の割合も高い傾向があることが明らかになっている。

■支払側は基準2の見直し、診療側は存続を要望

このため支払側の吉森俊和委員(全国健康保険協会理事)と幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)は、「急性期の患者像とはかけ離れている」などと主張し、同基準の見直しや廃止を求めた。診療側は、高齢化に伴い、骨折や肺炎などで急性期病棟に入院する認知症患者は今後も増加すると、同基準の必要性を強調。導入間もないことも考慮し、「もう少し様子を見てはどうか」(松本吉郎委員・日本医師会常任理事)と、現行のままの存続を提案した。

また、支払側は診療実績データ(DPCデータ)を判定に用いる看護必要度IIの届出促進策として、200床以上病院については看護必要度IIの届出を義務化することを提案。これに対して診療側は、DPCデータによる評価体制が整っていない医療機関への配慮が必要だとして、I・IIの選択制の維持を求めた。

■厚労省がかかりつけ医と薬局による重複投薬の防止案を提示

一方、医薬品の有効・安全な使用では、厚生労働省が、かかりつけ医と薬局が連携して患者の服用薬を把握し、重複投薬防止につなげる評価の案を提示した。

かかりつけ医機能を評価する報酬の「地域包括診療料」、「地域包括診療加算」などでは、患者の通院医療機関や処方薬を全て把握・管理することが求められるが、診療所の多くはこれら業務を負担に感じていることが、厚労省の調査などから明らかになっている。このため、同省は9月の総会に、服用薬の把握や処方薬の総合的な評価・調整を円滑に行うための対応や連携を診療報酬で新たに評価することを提案しており、今回は、その具体的枠組みを示したもの。

それによると、薬局は服用薬の把握や重複投薬の確認、かかりつけ医は重複投薬の有無の評価や他の医療機関との連絡・処方内容の調整をそれぞれ担いつつ、密に情報共有・連携して重複投薬の防止を目指す。

具体的には▶かかりつけ医が重複投薬の確認を薬局に依頼、▶薬局が服用薬を把握し、重複投薬を確認、▶確認結果をかかりつけ医に連絡。処方箋受付時に重複が疑われた場合は、直ちに処方医に照会、▶かかりつけ医は薬局からの情報をもとに重複投薬の有無を評価し、結果を患者に説明。必要に応じて他の医療機関との処方内容の調整を行う、▶調整結果を薬局に連絡する─の5つのステップで取り組みを進める。薬局には、お薬手帳の確認や患者への聞き取りで、服用中の薬剤やその服用期間、処方医療機関を把握し、結果を一覧表にまとめて、かかりつけ医に報告することを求める方針を打ち出した。

全体的な方向性について反対する意見は出なかったが、支払側の幸野委員は、報酬算定のタイミングを明確化することを厚労省に要望。「ステップ12だけで評価するのは違うかなと思う」との認識を示した。診療側の有澤賢二委員(日本薬剤師会常務理事)は、薬局の業務負担増を懸念。「検討にあたってはできるだけわかりやすい仕組みにするとともに、それを担う各職種の負担を踏まえたものにしてほしい」と注文をつけた。

関連記事・論文

もっと見る

関連書籍

関連物件情報

もっと見る

page top