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■NEWS 類似薬の対象拡大に慎重論相次ぐ─中医協・薬価専門部会

No.4985 (2019年11月09日発行) P.68

登録日: 2019-10-25

最終更新日: 2019-10-25

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中央社会保険医療協議会・薬価専門部会は1023日、新薬の薬価算定方式や後発バイオ医薬品の薬価設定のあり方などをテーマに意見交換した。新薬の薬価算定ルールのうち、類似薬効比較方式について、業界団体は類似薬の選定基準に「臨床的位置づけ等の医療実態」を追加することを提案しているが、支払・診療側揃って見直しに慎重姿勢を示した。

新薬の薬価算定では、▶効能及び効果、▶薬理作用、▶組成及び化学構造式、▶投与形態、剤型区分、剤型及び用量―の4つの視点から検証し、最も類似性が高い医薬品を類似薬に選定。類似薬がない場合は、原価計算方式で薬価を算定する。ただ、原価計算方式には透明性や正確性を疑問視する声があり、打開策として2018年度の薬価制度改革で、製品総原価の開示度に応じて補正加算の加算率に差を設ける見直しが行われたが、18年度以降に原価計算方式で算定された新薬19品目中、半数以上の10品目は開示度50%未満の品目という状況。

業界側は、企業の取引や製造・輸入形態といった個々の品目による事情で原価の開示には限界があると主張しており、類似薬の対象拡大を提案する背景には、不透明と批判を浴びる原価計算方式の適用品目を減少させたい狙いもある。厚労省は、効能効果や薬理作用が異なっても、「臨床的位置づけ等の医療実態」からみた類似性が認められる場合の判断基準例として、▶希少疾病用医薬品や指定難病治療薬への該当性、▶対象疾患の重篤度や特性、▶治療薬の予測投与患者数―などを挙げている。

だが、次期薬価制度改革での実施には、支払・診療側双方とも否定的見解を示している。松本吉郎委員(日本医師会常任理事)は、「該当する品目にどのような事例があるのかを積み上げて判断すべきであり、現時点では時期尚早だ」との見方を表明。幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)も、「原価計算方式を少なくしていく企業の意図は理解できるが、あまりに乱暴。慎重な検討が必要だ」と述べた。

■バイオAGとバイオシミラーの薬価設定のあり方が論点に

後発バイオ医薬品の関連では、先発品と有効成分、原薬、添加物、製法が同じバイオ医薬品(バイオAG)の薬価算定のあり方が論点となった。現在は、暫定的にバイオ後続品(バイオシミラー)と同じ、先発品の0.7倍に設定されている。バイオシミラーとの適切な競争環境を損なわないことに配慮した結果の措置だが、幸野委員は、「バイオAGはバイオシミラーの0.7掛けよりも高い薬価にしてはどうか」と提案。これに松本委員は、「バイオシミラーの開発・販売を推進していくためにはバイオシミラーよりも高くしても低くしても問題がある。現状では同じにするのが苦渋の決断だと思う」と、現状維持を主張した。

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