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(2)日常的に医療機関や施設で行っておくべき感染対策─手指衛生など[特集:病院・施設における感染症制御]

No.4981 (2019年10月12日発行) P.27

渋江 寧 (横浜市立みなと赤十字病院感染症科部長/感染管理室室長)

登録日: 2019-10-15

最終更新日: 2019-10-09

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標準予防策は「あらゆるヒトの血液,すべての体液,分泌物,汗以外の排泄物,創傷のある皮膚,および粘膜には感染性がある」ということに基づいた対応であり,すべての医療従事者が行うべき基本である

標準予防策には,手指衛生,個人防護具の着用,咳エチケット,適切な患者配置,環境の消毒,安全な注射手技,針刺し・切創,皮膚・粘膜曝露予防などが含まれ,それぞれの意味を理解し,実践する

手指衛生は標準予防策の基本となるものであり,すべての施設で100%の遵守をめざすべきである

1. すべての医療現場で実践すべき標準予防策

標準予防策とはすべての医療現場で実践すべき,文字通り“標準的な感染予防策”を意味する。

ヒトの体に存在する微生物のすべてを網羅的に把握して対応するのは現実的ではなく,「あらゆるヒトの血液,すべての体液,分泌物,汗以外の排泄物,創傷のある皮膚,および粘膜には感染性がある」という考えに基づき行われる1)

実際,検査で把握できる微生物には限界があり,各部位の培養検査を網羅的に提出しても適切な培地の選択,感受性検査が行われなければその存在を認識しづらい多剤耐性菌もあり,そもそもその提出した培養検査だけで検出される保証もない。また,いわゆるウインドウ期として抗体が産生されていない時期のB型肝炎ウイルス(hepatitis B virus:HBV),C型肝炎ウイルス(hepatitis C virus:HCV),ヒト免疫不全ウイルス(human immunodeficiency virus:HIV)などのウイルス感染なども100%早期診断することは不可能だろう。

強調しておきたいのは,標準予防策とは,病原体が証明されてから行う対策ではなく,「あらゆるヒトの血液,すべての体液,分泌物,汗以外の排泄物,創傷のある皮膚,および粘膜には感染性がある」と考えて対応するものである。

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