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EBM〈治療〉─定量的な評価を行い,患者への適用を考える[プライマリ・ケアの理論と実践(32)]

No.4979 (2019年09月28日発行) P.10

岡田 悟 (東京北医療センター総合診療科医長)

登録日: 2019-09-27

最終更新日: 2019-09-25

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SUMMARY
EBMでは定量的な評価と情報の患者への適用が重要である。そこではどのくらい治療の効果があるかを考え,患者の求めるアウトカムについてエビデンス以外の要素も考慮して方針を決めることが必要である。

KEYWORD
情報の患者への適用
EBMのSTEP4。患者固有の問題点と重要視しているアウトカムを意識しながら,①エビデンス,②患者の病状と周囲を取り巻く環境,③患者の意向と行動,④医療者の臨床経験─の4要素を考慮して方針を決めること。


岡田 悟(東京北医療センター総合診療科医長)

PROFILE
当院総合診療科後期研修医を経てスタッフとなる。その過程で南郷栄秀医師のもとで約10年間実践を通してEBMを学ぶ。日本プライマリ・ケア連合学会プライマリ・ケア認定医・指導医,日本内科学会総合内科専門医。

POLICY・座右の銘
家族だから幸せなんじゃない!岡田家だから幸せなんだ!


1 EBMの醍醐味

EBMを行う際には定量的な評価と情報の患者への適用が特に重要だと考えている。

定量的な評価を行うことで,ある疾患に対して「A薬がB薬より効果がある」ではなく「A薬がB薬に比べて,〇〇の発症を1/3にする」という考え方ができる。このように治療効果を考えることで,「この疾患なら〜すべき」という疾患特異的な対応から「この患者なら,本人の望む効果はそこまで得られない可能性が高いから,この治療は勧めないでおこう」という患者特異的な対応ができるようになる。

情報の患者への適用では,エビデンスと患者を取り巻く他の要素とのバランスを取りながら最終的な方針につなげていく。これが重要なステップでありEBMの醍醐味でもある。
それでは症例を通して上記の実践例を紹介する。なお,EBMの全体像,各STEPの詳細についてはThe SPELL1)を参照されたい。

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