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小児の痙攣と抗ヒスタミン薬の使用法

No.4978 (2019年09月21日発行) P.18

新島新一 (順天堂大学医学部名誉教授)

乃木田正俊 (順天堂大学医学部附属静岡病院新生児科)

吉田 登 (順天堂大学医学部附属練馬病院小児科)

登録日: 2019-09-24

最終更新日: 2019-09-18

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    抗ヒスタミン薬と痙攣の関係が報告されるようになり,成人と比較して,小児に痙攣発症が多く,その原因のひとつに,脳内ヒスタミン神経系と抗ヒスタミン薬との関係を挙げることができる

    抗ヒスタミン薬が脳内で作用すると,脳内ヒスタミン神経系の機能は抑制され,脳機能に様々な影響を及ぼす

    小児に対して抗ヒスタミン薬を使用する場合には,痙攣性疾患既往歴の確認を十分に行った上で,かつまた,脳内移行性の少ない抗ヒスタミン薬を選択することが重要である

    1. 抗ヒスタミン薬が小児痙攣に及ぼす影響

    小児は,成人と比較すると神経系が未発達であることから,痙攣を発症しやすく,特にその傾向は乳幼児において顕著である。小児痙攣の原因疾患としては,てんかん,熱性痙攣,低血糖・低カルシウム血症・低マグネシウム血症などの代謝性異常,脳器質性病変などのほか,ノロウイルス・ロタウイルスなどの感染性胃腸炎,インフルエンザウイルスによる呼吸器感染症,さらに,季節性の突発性発疹などが挙げられる。中でも,通年性の痙攣性疾患として発症頻度が高いものは熱性痙攣およびてんかんであり,わが国の小児における発症率は,それぞれ6~8%,0.5~0.8%と報告されている。

    近年,抗ヒスタミン薬と痙攣の関係が数多く報告されるようになり,注目を集めている。成人と比較して,小児に痙攣発症の多いことが興味深い点である。痙攣発症の原因のひとつに,脳内ヒスタミン神経系と抗ヒスタミン薬との関係を挙げることができる。脳内ヒスタミン神経系には多彩な脳機能があり,覚醒・睡眠機能には,覚醒の増加と徐波睡眠の減少,認知機能には学習と記憶の増強,運動機能には自発運動量の増加,摂食機能には摂食行動の抑制,ストレスにはストレスによる過興奮の抑制,そして痙攣に対しては発症を抑制する。すなわち,脳内ヒスタミン神経系の賦活化は痙攣を抑制するが,抑制すれば痙攣の誘発につながる。そのため,アレルギー性疾患治療に使用されている抗ヒスタミン薬は脳内に移行するとヒスタミンの作用を抑制するため,痙攣を誘発すると考えられる。

    アレルギー性疾患は年々増加を認めているが,小児アレルギー性疾患もその例外ではなく,抗ヒスタミン薬がその治療に処方されるケースが多くなった。したがって,日常の臨床現場において,抗ヒスタミン薬を服用する可能性が高い小児アレルギー性疾患患者は,小児科だけでなく,皮膚アレルギー性疾患では皮膚科,アレルギー性鼻炎では耳鼻咽喉科,アレルギー性結膜炎では眼科,喘息ではアレルギー科・呼吸器科など,アレルギー性疾患の種類により通院する科は多岐にわたっている。そのため,小児科以外の診療科でも小児に対する抗ヒスタミン薬処方の機会は多く,おのずと抗ヒスタミン薬による小児痙攣に遭遇する機会がある。

    本稿では,脳内ヒスタミン神経系と抗ヒスタミン薬の関係,脳内ヒスタミン量と痙攣の関係,小児痙攣と抗ヒスタミン薬および小児痙攣に留意した抗ヒスタミン薬の使用法等について,近年の基礎および臨床エビデンスをふまえ解説する。

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