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診療所ネットワークによる臨床研究〈在宅コホート研究〉─地域における研究ネットワークをつくろう[プライマリ・ケアの理論と実践(28)]

No.4975 (2019年08月31日発行) P.8

渡邉隆将 (北足立生協診療所所長)

登録日: 2019-08-29

最終更新日: 2019-08-28

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SUMMARY
クリニックを基盤に臨床研究を行う上で鍵となるのは研究ネットワークである。研究ネットワークは質の高い研究を生み出しやすいが,生産的なチームをつくり,維持するための工夫も重要である。

KEYWORD
practice based research network
プライマリ・ケアを提供する施設が複数集まって構成するネットワークのこと。地域に根ざした問題を解決し,プライマリ・ケアの質を向上させていくことを目的とする。

渡邉隆将(北足立生協診療所所長)

PROFILE
日本医療福祉生活協同組合連合会家庭医療学開発センター(CFMD)で家庭医療の研修を修了。現在,東京都足立区にある診療所で所長をしつつCFMDの研究ネットワークの運営にあたる。日本プライマリ・ケア連合学会認定家庭医療専門医・指導医,博士(医学)

POLICY・座右の銘
熟慮断行

1 practice based research network(PBRN)

クリニックを基盤に臨床研究をしようと考えたとき,単独のセッティングで行われることはもちろんあるが,十分な対象者数を集めることが難しい上に,得られた知見は一般化しにくいというデメリットを持つことになる。このようなデメリットに対して,多施設で共同研究をすることが1つの解になりうる。この共同研究を進める研究ネットワークは,practice based research network(PBRN)と呼ばれている。プライマリ・ケア研究のネットワーク化はプライマリ・ケアの伝統が長い英国に端を発しているが,現在は世界各地でこのネットワーク化が進められている。

2 PBRNの定義

PBRNは,米国医療研究・品質調査機構(Agency for Healthcare Research and Quality:AHRQ)では以下のように定義されている。「PBRNは,主にプライマリ・ケアを実践している外来診療を行う医療機関のグループである。PBRNはプライマリ・ケアの実践力を向上させるようなリサーチクエスチョンを特定し形づくるために臨床家の経験や見識を促す。これらのリサーチクエスチョンと厳密な研究手法を結びつけることによって,PBRNは臨床家に直ちに役に立ち,かつより簡便に日々の診療に取り入れられるような研究結果を生み出すことができる」

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