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糖尿病性腎臓病(DKD)[私の治療]

No.4974 (2019年08月24日発行) P.44

山崎智貴 (東京大学医学部附属病院腎臓・内分泌内科)

田中哲洋 (東京大学医学部附属病院腎臓・内分泌内科講師)

南学正臣 (東京大学医学部附属病院腎臓・内分泌内科教授)

登録日: 2019-08-26

最終更新日: 2019-08-20

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  • 糖尿病性腎症は透析導入原疾患の第一であり,その進展の予防はきわめて重要である。これまで,糖尿病性腎症は微量アルブミン尿から顕性蛋白尿を経て進行性に腎機能が低下していく病態と考えられてきたが,アルブミン尿を呈さずeGFR低下が進行する症例が無視できない割合で存在すると考えられ,糖尿病性腎臓病(diabetic kidney disease:DKD)という新たな疾患概念が提唱されている。DKDはこれまでの「古典的」糖尿病性腎症を包括する概念になっている。

    ▶診断のポイント

    「古典的」糖尿病性腎症の診断には,腎生検にて,びまん性病変,結節性病変,滲出性病変,メサンギウム融解,微小動脈瘤,糸球体門部小血管増生などの特徴的な所見から確定診断される。しかし,実際の臨床では臨床経過や尿所見から診断は比較的容易であり,侵襲的な腎生検は行わない場合が多い。その結果として腎炎の合併などが見逃されているという意見もあり,最近ではより積極的に腎生検を行うという流れもある。

    2007年に米国腎臓財団のKidney Disease Outcomes Quality Initiative(KDOQI)が,病理所見を診断の必要条件とせず,臨床的に糖尿病がその発症や進展に関与していると考えられる慢性腎臓病をDKDと定義した。DKDと診断することが,背景にある腎炎の評価を行わなくてよいということではなく,糖尿病患者がIgA腎症や多発性囊胞腎などの別の腎疾患を合併した糖尿病合併慢性腎臓病(chronic kidney disease with diabetes)を常に頭に入れる必要がある。

    尿アルブミンの測定は,「古典的」糖尿病性腎症の早期診断には有用性が確立しており,測定が推奨される。しかし,DKDはアルブミン尿陰性例を含んでおり,尿アルブミンの測定だけでは早期に診断することができないため,注意深く腎機能の推移をみる必要性がある。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    DKDは従来の「古典的」糖尿病性腎症と治療方針は変わらず,血糖コントロール,レニン-アンジオテンシン(renin-angiotensin:RA)系阻害薬を中心とした血圧・脂質コントロールを行い,適切な体重の管理,食事や禁煙の指導などの集学的な治療が重要である。

    血糖コントロールに関しては,腎症第1~2期相当の患者では,厳格な血糖コントロールが腎症の発症・進展を抑制することが示されており,早期腎症でのHbAlc目標値を7.0%未満としている。しかし,腎機能低下例において,厳格な血糖コントロールが有効かどうかについては十分なエビデンスがなく,HbAlc 6.5%未満の厳格な血糖コントロールが逆に死亡率を増加させることが示されている。

    血圧コントロールは,DKDのすべての病期において進展抑制に有効であり,CVD予防の観点からも重要である。各種ガイドラインで,降圧目標は130/80mmHg未満とされ,RA系阻害薬が第一選択となっている。また,高血圧を伴うDKDには6g/日未満の食塩摂取制限が推奨されている。

    新しい治療法としては,大規模臨床試験にて腎保護作用が証明されたsodium-glucose co-transporter 2(SGLT2)阻害薬や,glucagon-like peptide-1(GLP-1)受容体作動薬などが,血糖コントロールに依存しない腎保護作用を示しており,今後DKDの治療の中心的な役割を担う可能性がある。

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