株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

EBウイルス感染症

No.4974 (2019年08月24日発行) P.53

酒井 純 (埼玉医科大学感染症科・感染制御科)

前﨑繁文 (埼玉医科大学感染症科・感染制御科教授)

登録日: 2019-08-22

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

【再活性化した場合,唾液中に出現したEBVがヒト─ヒト感染する】

エプスタイン─バーウイルス(Epstein-Barr virus:EBV)は,90%の成人が一生涯中に感染するヘルペスウイルス属のひとつである。感染経路はEBVを含む唾液を介した感染であり,多くは幼少期に感染するが,ほとんどが無症状もしくは軽い症状で軽快する。

一方,思春期以降に感染した場合は,伝染性単核球症(infectious mononucleosis:IM)として発症することがあり,発熱,咽頭痛,頸部リンパ節腫大等の急性上気道炎様症状に加え,脾腫大や肝腫大,末梢血中に異形単核球の増加を認める。ウイルスはその後,咽頭粘膜や免疫細胞に潜伏し,自然軽快する。この状態では感染力が低いが,後に再活性化した場合,唾液中に出現したEBVがヒト─ヒト感染する。

一方,急性感染後に活動の沈静化が起こらず活性状態が継続する,慢性活動性EBウイルス感染症に移行する場合があり,一般的に予後不良となる。診断は末梢血の抗体検査が診断の一助となり,急性感染のIMはEB-VCA IgMが上昇し既感染抗体のEBNAが陰性を示す。慢性活動性EBウイルス感染症はEB-VCA IgG,EA IgG等が陽性を示す。

EBVはこれら疾患に加えて,バーキットリンパ腫やホジキンリンパ腫等のリンパ増殖性疾患や上咽頭癌への関与が指摘されており,EBV関連疾患の病態の解明が進められている。

【参考】

▶ Kimura H, et al:Blood. 2001;98(2):280-6.

【解説】

酒井 純,前﨑繁文  埼玉医科大学感染症科・感染制御科 *教授

関連記事・論文

もっと見る

関連書籍

もっと見る

関連求人情報

関連物件情報

もっと見る

page top