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効率的なクリニック運営にはクラウド型電子カルテが有用なツールになる[クリニックアップグレード計画 〈システム編〉(5)]

No.4968 (2019年07月13日発行) P.12

登録日: 2019-07-11

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厚生省(当時)が医療情報の電子化を認めたのは1999年のこと。“電子カルテ元年”から20年が経過したことになるが、クリニックの普及率は約4割にとどまる。しかしここ数年は医療ITベンチャーを中心に、使い勝手に優れる電子カルテが数多く登場している。シリーズ5回目は、開業時からクリニック向けのクラウド型電子カルテを活用し、必要最小限のスタッフでクリニックを効率的に運営している実例を紹介する。


政府は、電子カルテの普及や標準化など医療現場におけるICT化を推進するため「医療情報化支援基金」を設立、2019年度予算で300億円を計上した。医療機関が、標準規格を用いて相互に連携可能な電子カルテを導入した場合の初期費用も補助の対象となる。

クリニックでの電子カルテ導入の状況は、新規開業では8割という調査結果も出ているが、既存クリニックの普及が進んでおらず全体では約4割と低調だ。移行が進まない背景には、電子カルテの操作やレセプト入力の手間といったITリテラシーの問題に加え、導入や維持にかかるコスト負担が大きいなどの要因があるとみられる。

こうした状況下で新規開業のクリニックで導入が進んでいるのが、クラウド型の電子カルテだ。院内にサーバを置く従来型の電子カルテは、定期的な機器の交換が必要なため高コストになる上、定期的にセキュリティや情報のメンテナンス作業が必要で、管理負担も大きいことがネックだった。一方、クラウド型電子カルテは、クラウドサービスを利用するため導入・運用コストが比較的安価で、自動的にセキュリティがアップデートされるなどのメリットがある。

初のORCA完全内包型電子カルテ

神奈川県小田原市にある本多記念青野クリニックの青野治朗院長は、2018年9月の開業時からメドレーが提供するクラウド型電子カルテ「CLINICSカルテ」(https://clinics-cloud.com/karte/)を活用している。CLINICSカルテを導入した理由について青野さんはこう語る。

「小さなクリニックなので受付や会計、請求業務を効率化する必要があり、レセコン内包型の電子カルテを探していました。ORCA(日医標準レセプトソフト)を完全内包していることが一番の決め手になりました。何人かの知り合いの先生が『CLINICSが使いやすいよ』と口を揃えていたことも大きかったと思います。またメドレーの社長が歩んできた人生に興味があり、商品を知る前から企業として注目していました。CLINICSカルテのような患者さんの受診体験も含む診療全体を考慮したプロダクトがこれからの時代をリードしていくのではないかという思いもありました」

電子カルテからオンライン診療が可能

CLINICSカルテは、電子カルテとオンライン診療、予約システムの3つのプロダクトからなるクラウド診療支援システム「CLINICS」(図1)の1つだ。各システムのシームレスな相互連携により、従来はさまざまな動線から発生していた予約、受付、オンライン診療、カルテ保存やレセプト作成に至るまでのフローが一貫した操作で完結するため、院内業務の効率化を図ることができる。

オンライン診療機能を搭載した電子カルテは現在CLINICSカルテのみ。電子カルテ上から患者のアプリと接続できることにより、単にオンライン診療だけでなく、対面を含めた診療予約や事前問診、診察前後のデータや疾患の治療に必要なデータの共有、キャッシュレス会計までがシームレスに可能になる画期的な機能を実現した。青野さんもオンライン診療システムの活用を視野に入れているという。

「世の中の流れとしてオンライン診療は普及していくと思います。オンライン診療に対するハードルが下がってから始めるのでは遅いので、最初からツールとして搭載されていればタイミングを逃すこともありません。実際にどのようにオンライン診療を提供していくのか、今から考えていけるメリットは大きいと感じています」

カスタマイズできる“進化系カルテ”

CLINICSカルテはオンライン診療と予約以外にも内外のさまざまなシステムと連携することができる。診察室では画像ファイリングシステム(PACSなど)や生体検査システム、処置室では院外検査会社への検体検査のオンラインオーダリングや検体検査の結果取り込みなどの連携が可能で、業務の効率化につながる。

また青野さんが指摘するようにORCAを完全内包したレセコン内包型の電子カルテのため、レセプトソフトを別に立ち上げる必要がない。受付からレセプト作成までの作業を統一されたユーザーインターフェースで操作できるというメリットがある。

セキュリティ面では、ISMSクラウドセキュリティ認証を取得。厚労省ガイドラインに記載されているTLS1.2暗号化通信と2要素認証を使用し、安全な通信環境を確保している。
青野さんは、特にCLINICSカルテの使い勝手の良さを評価している。

「デフォルトはシンプルな機能で、自分が使いやすいように工夫していける余地のある“進化系”電子カルテだと思います。また診察履歴や病名のダッシュボード、検索機能など必要な情報が一画面にまとまっていて、とても見やすくなっています(図2)。幅広い医療機関に利便性がある要望に関しては社内医師を中心に積極的に検討してもらえる体制が整っており、採用された場合にはアップデートまでの期間もすごく早いと感じます。電話だけでなくチャットサポートや遠隔操作でのリアルタイムのサポートなどが充実している点も安心です」

電子カルテの活用で診療に専念できる

政府の進める働き方改革の影響もあり、医師だけでなく看護師や医療事務など医療関係職種の人手不足が深刻な問題となっている。医療の質を担保していくためには、電子カルテを活用した業務効率化が重要と青野さんは強調する。

「特に医事課のスタッフを探すことは難しい状況です。レセコン内包型の電子カルテを使い、自動精算レジを導入すれば、大きな省力化ができます。都会よりも人手不足に悩む地方のクリニックこそ電子カルテを導入し、医師が診療に集中できる環境を整えることがこれからますます大切になると感じています」

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