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フェムトセカンドレーザーを使用した白内障手術の現状は?

No.4964 (2019年06月15日発行) P.55

平沢 学 (東京歯科大学水道橋病院眼科専任講師)

登録日: 2019-06-16

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フェムトセカンドレーザーを使用した白内障手術の現状について,症例数や手術予後,評価をご教示下さい。

(大阪府 W)


【回答】

【多焦点IOLを用いた白内障手術の半数程度で行われていると推測される】

フェムトセカンドレーザーを使用した白内障手術(femtosecond laser-assisted cataract surgery:FLACS)とは,Nagyら1)によって提唱された,「前眼部解析に基づくフェムトセカンドレーザー照射による,角膜切開・前囊切開・水晶体核分割のいずれか(もしくはすべて)を実施した白内障手術」を示します。

FLACSで使用する器具の出荷状況から,2018年時点のわが国では,約1万1000~1万2000件のFLACSが実施されています。FLACSは保険請求ができないことから,その多くは先進医療(もしくは自費診療)である,多焦点眼内レンズ(intraocular lens:IOL)を用いた水晶体再建術で実施されています。2018年時点の多焦点IOLの出荷枚数が約2万枚であることから,多焦点IOLを用いた白内障手術の半数程度でFLACSが行われていると推測されます。

FLACSの利点としては,①正円性が高く精確な水晶体前囊切開を行うことが可能であり2),②レーザーによる核分割で,術中超音波時間を有意に減少でき3),③レーザーによる角膜切開は従来のマニュアル白内障手術では作製不可能な位置の切開作製が可能で,白内障術中に角膜乱視を減弱させるための角膜減張切開が併用可能であること4),などが挙げられます。

現時点では,術後の屈折誤差や裸眼視力という点においては,FLACSが従来のマニュアル白内障手術と比較し,臨床的意義のある有意差を見出すまでには至っていませんが5),フェムトセカンドレーザーを用いた新しいコンセプトのIOLや術式が登場しつつあり6),今後のさらなる発展が期待されています。

【文献】

1) Nagy Z, et al:J Refract Surg. 2009;25(12): 1053-60.

2) Kránitz K, et al:J Refract Surg. 2011;27(8): 558-63.

3) Conrad-Hengerer I, et al:J Cataract Refract Surg. 2012;38(11):1888-94.

4) Rückl T, et al:J Cataract Refract Surg. 2013;39 (4):528-38.

5) 平沢 学:IOL & RS. 2018;32(3):362-6.

6) Sahler R, et al:J Cataract Refract Surg. 2016; 42(8):1207-15.

【回答者】

平沢 学 東京歯科大学水道橋病院眼科専任講師

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