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慢性疼痛治療ガイドライン[ガイドライン ココだけおさえる]

No.4963 (2019年06月08日発行) P.34

西須大徳 (愛知医科大学痛みセンター)

西原真理 (愛知医科大学痛みセンター教授)

登録日: 2019-06-07

最終更新日: 2019-06-05

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  • 主なポイント〜どのようなガイドラインなのか

    1 慢性疼痛総論

    2 慢性疼痛治療ガイドラインの必要性

    3 慢性疼痛とは何なのか

    4 慢性疼痛治療における基本的考え方

    5 慢性疼痛治療戦略

    1 慢性疼痛総論

    痛みは大きく急性痛と慢性疼痛に分類され,治療の方針や方法が異なる。慢性疼痛は国際疼痛学会(International Association for the Study of Pain:IASP)により「治療に要すると期待される時間の枠を超えて持続する痛み,あるいは進行性の非がん性疼痛に基づく痛み」と定義されている1)。慢性疼痛を対象としたガイドラインは疾患や治療薬物に特化したものが多く,また各学会が独自に作成してきたため,学会の特性に応じた偏りのリスクがある。

    「慢性疼痛治療ガイドライン」は,厚生労働研究班が主体となり,痛みに関与する7学会と連携して作成されたわが国発の慢性疼痛治療ガイドラインとなっている。本稿では,「慢性疼痛治療ガイドライン」を利用するにあたって押さえるべき4つのポイントをもとに,慢性疼痛治療に携わる臨床医の視点で解説していく。

    2 なぜ慢性疼痛治療ガイドラインが必要なのか

    疼痛は大部分の人が経験する感覚であり,不快感を伴う情動でもある。慢性疼痛の場合,原因の有無にかかわらず,大半の患者は痛みだけでなくQOLが低下する。これは痛みに対する破局的な考えを抱いたり,強い不安や抑うつ傾向を示したりする患者も少なくないことから,結果として痛みの悪循環に陥ることが一因である(図1)2)。このため慢性疼痛治療では,生物心理社会モデルに準じた包括的治療が求められる。しかしながら,これまではどのような治療法が効果的かつ有効かの指針がなかったため,慢性疼痛治療を専門的に実施している施設は限られていた。そのため慢性疼痛に起因する社会的経済損失は大きく膨れ上がり3700億円と推定されている3)

    こうした背景には,慢性疼痛ががんや一般的な生活習慣病と異なり,客観的評価法に乏しく,また医療者でさえ患者の訴えが理解しにくい場合があることなどが挙げられる。特に,急性痛と慢性疼痛を同じ痛みとして扱った場合,医療者も患者も「痛み」をとることだけにフォーカスし,結果として患者は不必要な医療行為を受け続けることとなる。したがって,本ガイドラインはそれらを払拭するため,慢性疼痛の考え方を理解した上で,プライマリケア医や各メディカルスタッフなども幅広く利用できるよう,臨床で遭遇する多くの疑問に答える形式となっている。

    残り3,445文字あります

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