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マルチスライスCTを活用して身近で高度な検査ができるクリニックを目指したい[クリニックアップグレード計画 〈医療機器編〉(3)]

No.4962 (2019年06月01日発行) P.14

登録日: 2019-05-31

最終更新日: 2019-05-31

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医療機能の分化が推進される中、地域においてかかりつけ医療機関が担う役割の重要性が増している。2018年度診療報酬改定では、かかりつけ医機能の強化促進のため、初診料に「機能強化加算」が新設、評価の充実が図られた。第3回は、ニーズに応じて専門外来などの機能を充実させるとともに、マルチスライスCTをはじめ各種検査を可能にする機器類を積極的に導入し、幅広い診療を実践しているクリニックの実例を紹介する。


日本医師会はかかりつけ医機能について「なんでも相談できる上、最新の医療情報を熟知して、必要な時には専門医、専門医療機関を紹介でき、身近で頼りになる地域医療、保健、福祉を担う総合的な能力を有する医師」と定義している。こうした役割に加え、地域住民の「自宅から通いやすい身近な医療機関で専門性の高い医療を受けたい」という声に応えるべく、専門医による専門外来の設置と最新医療機器を駆使した迅速な各種検査の提供を実践しているのが、東京・練馬区にある麦島内科クリニックだ。

地域のニーズに応じて各種専門外来を設置

同院は理事長の麦島真理さん(写真)と院長の麦島清純さん夫婦が1991年に開設。理事長の真理さんが神経内科と一般内科の外来を、院長の清純さんが放射線科外来と1998年から開始した訪問診療をそれぞれ担当している。このほか循環器内科、糖尿病内科、呼吸器内科、腎臓内科の専門の医師を大学病院などから招き、予約制の専門外来を設置、高い専門性を備えたかかりつけ医療機関を目指している。

「当院の患者さんは主に地元で長年暮らしている50〜80代の方です。疾患で多いのは、糖尿病や高血圧症、脂質異常症といった生活習慣病で、アルツハイマー型老年性認知症を患っている方もかなりいらっしゃるという地域密着型のクリニックです。車椅子の方、足が不自由で病院まで通院することが難しい方や病院の待ち時間が負担という方により専門的な医療を提供したいという思いから、血糖をコントロールする糖尿病内科に始まり、循環器内科、呼吸器内科とニーズに応じて専門外来を増やしてきました」(麦島真理さん)

従来型に比べ撮影時間が大幅に短縮

麦島内科クリニックが実践する幅広い分野の診療を支えているのが、各種検査を可能にする充実した機器類だ。中でも日立製作所のマルチスライスCT「Supria」(http://www.hitachi.co.jp/products/healthcare/products-support/ct/supriaadvance/index.html)が、複数の疾患で正確な診断、的確な治療に役立っているという。

CTはその汎用性から画像検査の主役として活用されているが、従来型CTは検出器が1列のため、広い範囲の撮影には長い息止めが必要で、撮影中に血圧や脈拍数が上昇することなどから、高齢者や重症患者、乳幼児では検査が難しいという課題があった。マルチスライスCTは検出器を増やし、一度に多断面での撮影を可能にしたことで、従来型CTに比べ撮影時間が格段に短縮。息止めの負担軽減に加え、撮影時間が短いため被ばく量を抑えることができ、患者にやさしいCT検査が可能になった。

このほかSupriaでは、0.625㎜単位のデータ収集が可能で、従来のCTでは難しかった微小な病変を確認できるようになり、肺がんの早期発見などに有用だ。

Supria導入の効果について真理さんはこう語る。

「撮影時間自体も短くて済みますが、ほぼ連続で時間を置かずに撮影できるようになったので、患者さんをお待たせすることが少なくなりました。また開口部が広いので、閉塞感がなく安心して検査に臨めるのではないでしょうか。画像(図1参照)についてはアーチファクトが少ない高画質で細かい断面の変化が確認できることに加え、再構成した3D画像もクリアです。また側面の画像もきれいに描出できるため、呼吸器専門医の先生からは『肺がんの鑑別がしやすくなった』と喜ばれています。放射線科の専門医である院長がいることもありますが、高性能のエコーと組み合わせて、クリニックレベルではかなり精度の高い画像診断が可能になったと感じています」

肺気腫や内臓脂肪をカラー表示

同院が導入したSupriaの特徴は、16列マルチスライスCTとしてはトップクラスの開口径75cmを確保する一方で、クリニックに適したコンパクトさを両立している点。ガントリ、寝台、操作卓だけの真の3ユニット構成のため、操作室・CT室のシステムトランスや別ユニットなどが不要で、限られたスペースを有効活用できる。

日立のCT独自のアプリケーションソフトウェア「riskPointer」では、COPDの特徴である肺気腫の部分がCT画像上にLAA(低吸収領域)として表示される。患者は自分の肺の何パーセント程度が肺気腫状態なのかを色付きの画像で確認できるため、特に禁煙治療には効果がある。

また「fatPointer」というソフト(図2参照)では、腹部CT画像に内臓脂肪と皮下脂肪に相当する領域を赤と青に色分けして表示。インフォームドコンセントなどの際に視覚的に分かりやすく伝えることができ、疾患や治療に対する患者の理解度向上につながる。

患者の不安に寄り添えるクリニックに

麦島内科クリニックが地域のかかりつけ医療機関として掲げている理念は「親切、丁寧、誠実」と「諦めない医療」だ。

「当院ではできるだけ詳細な検査を迅速にできるように心がけています。CTも予約なしで検査ができます。肺がんの不安がある方は呼吸器専門外来の日に受診していただければすぐにX線とCTを撮ることができるので、当日に診断がつきます。大病院に行くと検査まで1カ月待つことも珍しくありません。不安を抱えながら日常を過ごすことはとても辛いと思います。身近なクリニックである程度の高度な検査ができれば、こうした患者さんの不安に寄り添うこともできますし、すぐに的確な治療につなげることもできると考えています」(真理さん)

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