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(2)レビー小体型認知症の特徴的症状と薬物療法[特集:レビー小体型認知症―病態解明と治療の現状]

No.4961 (2019年05月25日発行) P.24

橋本 衛 (大阪大学大学院連合小児発達学研究科行動神経学・神経精神医学寄附講座准教授)

登録日: 2019-05-27

最終更新日: 2019-05-22

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レビー小体型認知症(DLB)の臨床症状は多彩であり,治療のターゲットとすべき症状は多岐にわたる

治療すべき臨床症状として,認知機能障害,幻覚・妄想・うつ・睡眠障害などの精神症状,パーキンソニズム,便秘や起立性低血圧などの自律神経障害が挙げられる

DLBの1つの症状に効果を示す薬剤は,その他の症状を悪化させるリスクを有しているため,個々の症状に対する有効性だけを指標にして薬剤を選択するのではなく,患者にとって優先的に治療すべき症状は何かを十分に検討した上で,薬剤を使用する順番や開始のタイミングを決定するといった治療戦略が必要となる

1. レビー小体型認知症(DLB)の病態の多様性

レビー小体型認知症(dementia with Lewy bodies:DLB)はアルツハイマー病(Alzheimer’s disease:AD)についで頻度の高い変性性認知症であり,日常診療においてDLB患者を診察する機会は少なくない。DLBの原因と考えられるα-シヌクレイン凝集物の沈着過程そのものを修飾するような根本的治療薬はいまだ開発されておらず,DLB治療は,特定の神経伝達物質を調整し臨床症状を改善する対症療法が中心となる。しかし,DLBの臨床症状は,認知機能障害が緩徐に進行するADと比較して多彩であり,治療のターゲットとすべき症状も多岐にわたる。さらに,DLBの1つの症状に効果を示す薬剤は,その他の症状を悪化させるリスクもあることから,薬物治療はきわめて複雑である。

本稿では,DLBの主症状である認知機能障害,精神症状,パーキンソニズム,自律神経障害を取り上げ,その薬物療法について概説する。

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