株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

接触皮膚炎[私の治療]

No.4961 (2019年05月25日発行) P.48

佐山浩二 (愛媛大学大学院医学系研究科皮膚科学教授)

登録日: 2019-05-26

最終更新日: 2019-07-09

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
    • 1
    • 2
  • next
  • いわゆる「かぶれ」である。アレルギー性の接触皮膚炎と,刺激性の皮膚炎とがある。皮膚科外来患者の中で最も頻度の高い疾患のひとつである。原因物質の接触部位を越えて全身に皮膚症状が拡大する場合は接触皮膚炎症候群の可能性がある。

    ▶診断のポイント

    湿疹性の病変であれば何らかの原因物質がないか,生活環境・習慣などの詳細な問診が必要である。接触皮膚炎の急性期では紅斑,丘疹,小水疱,痂皮形成と多彩な臨床像を呈し,湿潤した局面を形成する。慢性期になると苔癬化と呼ばれる皮膚が肥厚し,皮野が目立つ局面を形成する。日用品が原因物質の場合,原因と気づかず長期間接触し慢性化する場合がある。慢性化した場合,原因物質を除去しても必ずしも軽快しない。

    アレルギー性接触皮膚炎の場合,初回のアレルゲン曝露後約1週間かけて感作され,2回目以降の接触で1~2日後に炎症反応が惹起される。一方,刺激性皮膚炎の場合,初回の接触で誰でも皮膚炎を生じうる。症状が強い場合は化学熱傷となり,水疱びらんを呈する場合もある。また,頻回の手洗いによる刺激でも皮膚炎を生じうる。

    皮疹を生じている部位から原因物質をある程度推定できる。顔面であれば化粧品や毛染め,頭部生え際,項であればシャンプー・トリートメント,毛染め,眼瞼およびその周囲であれば点眼薬,眼軟膏,手であれば職業性の物質,ゴム手袋を疑う。患者自身が原因物質に気づいていないことも多く,推定される原因物質に触れていないかどうか質問することも重要である。

    接触皮膚炎症候群は,原因物質に大量に,あるいは繰り返し曝露することにより,原因物質が散布され全身に皮膚症状が出現したものである。多型紅斑様の皮疹を呈することもある。

    残り1,623文字あります

    会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する

    • 1
    • 2
  • next
  • 関連記事・論文

    関連書籍

    もっと見る

    関連求人情報

    関連物件情報

    もっと見る

    page top