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【論点】在宅生活を送る医療的ケア児に関する診療のあり方は?

No.4952 (2019年03月23日発行) P.24

紅谷浩之 (オレンジホームケアクリニック理事長)

登録日: 2019-03-20

最終更新日: 2019-03-19

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執筆:紅谷浩之(オレンジホームケアクリニック理事長)

Bを選びます。医療的ケア児の在宅生活は,医療に縛られることなく,地域での友達との出会いや遊びなど,当たり前の体験を重ねることが大切です。この点で生活を見ることができる在宅医が関われるとよいと考えます。彼らの人生は,病気や障害によって途切れることはありません。医療の専門性で分断することなく,本人の可能性に目を向け,多職種が連携していく必要があると思います。

1 背景

厚生労働省の人口動態統計によれば,2016年に生まれた子どもの数(出生数)は97万6979人で,1899年の統計開始以来,初めて100万人を割り込んだ1)。一方で,わが国は新生児死亡率が出生1000人当たり1人となっており,米国や英国などの先進諸国と比べても,世界一赤ちゃんが死なない国でもある2)

こうした中で,人工呼吸器や喀痰吸引などの医療的ケアを必要とする子ども(医療的ケア児)の数は,2016年度に1万8272人に達し,10年前のおよそ2倍になった3)。医療機器の発達などもあり,彼らは病院から家族の住む家へと帰れるようになりはじめている。しかし,家に帰れたことがゴールではない。そこから先にあるべきは生活である。たとえ医療的ケアが必要であったとしても,医療に縛られることなく,地域で生活する中で,多くの友達と出会い,初めての経験を通して,成長を重ねていけるはずである。大切な小さな命を救える国は,同時にその命を支え育てられる国にならねばならない。

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