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子宮頸部腺癌の新分類─子宮頸部胃型腺癌とは

No.4942 (2019年01月12日発行) P.48

西尾 真 (久留米大学医学部産科婦人科学教室講師)

登録日: 2019-01-11

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  • 子宮頸部腺癌の組織分類は,WHO2003分類からWHO2014分類に変更となった

    WHO2014分類では粘液性腺癌の多くがendocervical adenocarcinoma, usual typeに分類された。残りの粘液性腺癌が新たにmucinous carcinoma,not otherwise specified(NOS)に分類され,新たにgastric type(胃型腺癌)が追加された

    1. 子宮頸部腺癌の組織分類

    子宮頸部腺癌の組織分類は,WHO classification of tumours of the uterine cervix(2003)(WHO2003分類)からWHO2014分類に改訂され,以下が変更されている。

    WHO2003分類では粘液性腺癌が約90%を占め,endocervical type,intestinal type,signet-ring cell type,minimal deviation adenocarcinoma(“adenoma malignum”),villoglandular typeの亜型に分類され,ほかにendometrioid adenocarcinoma,clear cell adenocarcinoma,serous adenocarcinoma,mesonephric adenocarcinomaに分類されていた1)。WHO2014分類では粘液性腺癌の多くがendocervical adenocarcinoma,usual typeに分類された。残りの粘液性腺癌症例が新たにmucinous carcinoma,NOSに分類され,新たにgastric type(胃型腺癌)が追加され2),WHO2003分類と同様に,intestinal typeとsignet-ring cell typeの分類は残った。またvilloglandular carcinomaが細分類に加えられている。clear cell adenocarcinoma,serous adenocarcinoma,mesonephric adenocarcinomaはWHO2003分類と同様に細分類された。さらに稀であるが,adenocarcinoma admixed with neuroendocrine carcinomaが細分類に位置づけられた。本稿では,粘液性腺癌の新分類とその中でも新規に追加となった胃型腺癌を最新の知見とともに概説する。

    2. 粘液性腺癌の各組織亜型について

    1 endocervical adenocarcinoma,usual type

    WHO2014分類では“The most common form of endocervical type adenocarcinoma with relative much depletion”と定義されている。粘液性腺癌の約90%を占める組織型である。内頸粘膜の円柱上皮細胞に類似する粘液性腺癌であり,ほとんど高分化型から中分化型である。複雑に分岐する管状構造,腺内腔あるいは表層に突出する乳頭状構造,時に篩状構造が認められ,がん細胞は基底に位置する核と淡明な粘液性細胞質を有する。核は大小不同,粗造なクロマチン,明瞭な核小体などの核異型を伴い,核分裂像は通常多くみられる。

    2 mucinous carcinoma,NOS

    WHO2014分類では“A mucinous adenocarcinoma that cannot be classified as any of the specific types of cervical adenocarcinoma”と定義されている。大部分の腺癌細胞の胞体は粘液性の胞体を持ち,比較的高分化型で,腺管胞巣を示すが,一部は嚢胞状ないし充実性の発育を呈することもある。なお,ここで用いられているNOSは国際疾病分類の内容例示における“not otherwise specified”の略である。

    3 mucinous carcinoma,gastric type

    WHO2014分類では“A mucinous adenocarcinoma that shows gastric type differentiation”と定義されている。胃型の形質を有する腺癌で,豊富で明るいあるいは好酸性の胞体を有し,細胞境界が明瞭であり,明らかな核異型を呈するのが特徴である。この高分化型が従来からadenoma malignum(悪性腺腫)と呼ばれたもので,最小偏倚腺癌(minimal deviation adenocarcinoma:MDA)と呼称されていた。正常内頸部腺との区別が困難な腺管からなる腺癌であり,がんの多くの腺管が,非腫瘍性腺管と区別できないほど高分化な形態を示すにもかかわらず,強い浸潤性増殖を示す予後不良な腺癌である。

    4 mucinous carcinoma,intestinal type

    WHO2014分類では“A mucinous adenocarcinoma that shows areas of intestinal type differentiation”と定義されている。細胞や吸収上皮細胞などの形態を伴う腺癌であり,大腸に発生する腺癌に類似し,腸型の形質は全体にみられる場合と一部にとどまる場合がある。神経内分泌細胞やバーネット細胞は稀である。

    5 mucinous carcinoma,signet-ring cell type

    WHO2014分類では“A rare adenocarcinoma that shows focal or diffuse signet-ring cell differentiation”と定義されている。印環細胞からなる腺癌であり,胃などに発生する印環細胞癌に類似する。純粋型の印環細胞癌は稀であり,低分化腺癌や腺扁平上皮癌の部分像として認められるのが一般的である。診断は転移性腺癌や印環細胞様細胞を伴う扁平上皮癌を除外する必要がある。

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