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ヒト発生の3次元アトラス

ヒトの発生過程を鮮明な画像でとらえた世界初のアトラス

定価:10,450円
(本体9,500円+税)

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立ち読み

編集: 塩田浩平(京都大学名誉教授)
判型: B5変型判
頁数: 160頁
装丁: カラー
発行日: 2011年07月06日
ISBN: 978-4-7849-3210-8
版数: 第1版
付録: -
ヒト胎児の初期発生と器官形成の過程を鮮明な画像でとらえた世界初のアトラス。€
全ステージのマクロ写真、組織写真に加え、マイクロフォーカスX線CT、MRマイクロスコープ、EFIC等のイメージング装置を駆使し、胎児の体内の構造を立体的に可視化することに成功しました。

目次

第1章 ヒトの正常発生

第2章 画像解析で見るヒト胚
2.1 EFIC
2.2 MRI

第3章 CGで見るヒトの発生過程

第4章 器官発生
4.1 心臓
4.2 脳
4.3 頭蓋

第5章 ヒト胚の組織発生

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序文

ヒトは、母親の胎内で胎児として38週間の生活を送ったあと、誕生する。1個の受精卵からスタートした胚は、細胞分裂によって細胞数を増やし、様々な組織や器官(臓器)が形成されてヒトの体が出来上がる。この過程とそこで起こる現象を「発生(development)」という。

従来「神秘」と言われてきたヒトの発生現象も、最近の研究の進歩によって徐々にその詳細が明らかになりつつあり、様々な発生現象に関わる遺伝子とその働きも解明されてきている。一方、産婦人科領域を中心とした臨床画像診断によって、これまでは直接目で見ることが難しかった胎内の胎児の様子がリアルタイムで観察できるようになり、また、新しいイメージングやコンピュータ科学の技術が胎児の体内の器官や組織の詳細かつ立体的な観察を可能にした。

発生現象は、時間経過とともに体や組織の三次元的な変化がダイナミックに起こる四次元的な現象である。そのために、わかりやすい写真や画像でその継時的変化を理解することが、発生を理解する上で不可欠である。

このアトラスは、ヒト胎児の初期発生と主要な器官の発生過程をマクロ写真、組織写真、マイクロX線画像、磁気共鳴(MR)画像、新しいEFIC画像、さらにコンピュータグラフィクスによって視覚的に表現した世界初の画像集である。ここに掲載した画像は、著者らが独自に撮像または作製したオリジナルであり、胎内におけるヒトの発生の全容とダイナミックな形態形成現象を理解するためのユニークな資料になると確信している。

本アトラスで撮像したヒト胎児標本は、京都大学大学院医学研究科附属先天異常標本解析センターに所蔵されるヒト胚子標本と、東京女子医科大学解剖学教室に所蔵されるヒト胎児標本であり、いずれも世界的に有名な標本コレクションの資料である。これまで両標本コレクションの樹立に尽力された多くの関係者の方々に深く感謝したい。

€また、画像データの作成に協力された京都大学学術情報メディアセンターの舩冨卓哉博士と高橋三紀子さん、米国NIHのRajeev R Samtani氏とElaine S Lee氏に感謝する。

€本アトラスに収載した画像データの多くは、独立行政法人科学技術振興機構(JST)の「バイオインフォマティクス推進事業」に採択された「ヒト胚の形態発生に関する三次元データベース」(2005?2011年、代表者塩田浩平)の成果に基づくものである。支援いただいたJSTに深甚の謝意を表する。

最後に、このアトラスの企画から完成までの間、忍耐強く困難な作業に当たられた日本医事新報社の編集部に心から感謝する。

2011年5月€

塩田浩平

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レビュー

【書評】ヒト発生学における画期的なアトラス

横浜市立大学附属病院病院長(産婦人科学)平原史樹
発生学といえば、発達過程と立体構造との対比がともすれば複雑でわかりにくく、難しい学問との認識が相場であった。今般上梓された『ヒト発生の3次元アトラス』は、京都大学が世界に誇るヒト胚子44,000例のコレクションを基にして、最新のコンピュータグラフィックスにいたる、あらゆる画像解析技術を駆使した、今までには見られなかったすばらしいアトラスとなっている。
発生形態学の基本となるマクロ標本は、各時期の胚子の姿と各器官の形成過程がつぶさに紹介され、さらにこれらに対応した組織断面図が詳細かつ鮮明な鏡検像として示されている。これらの画像は、膨大な標本を仔細に観察し、また無数の連続切片の中から選りすぐった貴重なものであり、学術書としての本書の骨格をなしている。
本書の画期的な部分は、EFIC(episcopic fluorescence image capture)という細胞内の自家蛍光を利用した新しい3次元イメージング法による立体画像や、高解像度MRIによるきわめて精緻な断層画像を提示していることである。これらの画像の特性を生かして、心臓、脳をはじめとする各器官の発生過程を詳細に見ることができる。また、頭蓋・顔面の形成過程は、マイクロCT(マイクロフォーカスX線断層撮影)を用いて各構成部分が明快に示されている。さらに圧巻なのは、最新のコンピュータグラフィックス技術を駆使して、受精卵から受精後8週までのプロセスを鮮やかな立体画像としてまとめている。
本書すべてにわたり、豊富なカラー写真と具体的でわかりやすいイラストがふんだんに使われ、視覚的に立体感、実体感がわくよう各ページが組まれており、編者である京都大学塩田副学長の秀逸な創意工夫に敬意を表したい。
医療者、研究者はもとより、大学から中、高校の生物学の領域に至るまで幅広い層を対象にした名著である。

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読者レビュー

 
ヒト発生を詳細に記録したアトラス。 学会場で見かけて衝動買いしてしまった。 発生学に興味のある方、必見の本です。

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正誤情報

下記の箇所に誤りがございました。謹んでお詫びし訂正いたします。


『ヒト発生の3次元アトラス』 初版初刷(2011年7月発行)

第5章「ヒト胚の組織発生」p.133〜152において
横断面画像の名称(心房・心室・気管支・肺・上肢・下肢)が左右逆になっています。

読者の皆さまにはご迷惑をおかけいたしますが、「右」と「左」を
置き換えてご覧いただきますようお願い申し上げます。 

第2刷(2013年6月発行)では訂正されています。
 

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