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アルツハイマー病疾患修飾薬の開発動向

No.4936 (2018年12月01日発行) P.53

荒井啓行 (東北大学加齢医学研究所老年医学教授)

登録日: 2018-11-30

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【米国では,疾患修飾薬開発を加速し,2025年までに市場化することを目標に掲げている】

アミロイド蛋白の生成阻止,除去あるいは凝集阻害などの薬理作用を有するアルツハイマー病(AD)疾患修飾薬開発への努力が続けられているが,いまだに第3相試験に成功した新薬は登場していない。治験不成功の背景として,①アミロイド蛋白をターゲットとするだけでは,複雑なニューロンネットワークの故障を修復できない,②脳に生ずる病理変化を精度よく簡便に捕捉・計測するツール(サロゲートバイオマーカー)が確立されていない,などが研究者コミュニティーから指摘されている1)2)

2011年,米国National Institute on Agingとアルツハイマー病協会は最新のバイオマーカーの知見を取り入れ,ADを3つの臨床病期に分類することを提唱した。すなわち,発症前AD(preclinical AD),ADによる軽度認知障害(MCI due to AD),認知症を呈する段階のAD(AD dementia)である。米国National Alzheimer’s Project Act,G8認知症サミットなどでは,疾患修飾薬開発を加速し,25年までに市場化することを目標に掲げている。

一方で,認知症の根本治療が困難な現状において,認知症の発症予防を見据える動きも活発化している。

【文献】

1) 荒井啓行, 他:日臨. 2016;74(3):411-6.

2) 荒井啓行:日臨. 2018;76(増刊号1):1-7.

【解説】

荒井啓行 東北大学加齢医学研究所老年医学教授

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